長崎県「みつばち連絡協議会」稲作農家と果樹農家が連携して農薬自粛
科学ジャーナリストの小出五郎氏は「これまでの農薬研究は、急性毒性が中心でしたが、ネオニコチノイドはわからないことがいっぱいです。EUは2年をかけて、検証だけでなく代わるべき手段も探そうとしているんです」という。
日本の農林水産省は今のところ動く気配はない。動いたのは長崎県だ。長崎はイチゴ、メロンのハウス栽培で全国有数の産地である。ハウスでは養蜂家からミ ツバチを借りてきて受粉をする。そのミツバチの大量死に農薬が疑われた以上、ミツバチに関係のない農家も巻き込む必要がある。養蜂家を中心に「みつばち連絡協議会」を立ち上げた。これまで連携のなかった稲作農家と果樹農家が、農薬とミツバチを軸に協力しようという。7月に開いた協議会では、農協が「農薬の自粛」を打ち出すなど協力体制ができつつある。地域の特性に根ざした協力だ。
小出氏は「信頼関係ができたこと、長崎という地域がやったことの意味は大きい」という。日本の農業は環境も多様で、全国一律の規制は難しい。因果関係の解明は科学の領域だが、農業の現場ではわかってからでは遅い。だからこそ、「地域社会が主役になるべきだ」という。
長崎の決断はおそらく正しい。地域の共存のために農協までが動いた。「農水省と関係なく」というのも面白い。日本の農業もやるじゃないかと応 援したくなった。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2013年9月12日放送「謎のミツバチ大量死 EU農薬規制の波紋」)