あんなに軽々とスタンドに運べるものだろうか。きのう11日(2013年9月)、ヤクルトのウラディミール・バレンティンが広島戦で55号目の本塁打を放ち、1964年の王貞治(巨人、現ソフトバンク球団会長)、2001年のタフィ・ローズ(近鉄)、翌年のアレックス・カブレラ(西武)の3人が持つ年間本塁打記録に並んだ。1985年にはランディ・バース(阪神)があと1本に迫っている。これまでは、外国人選手に王の記録を破らせたくないという心理も働き、敬遠や厳しい攻めにさらされ、いずれももう一歩のところで記録達成を阻まれてきた。今回はそうした動きは見られず、きょう12日にも56号が誕生しそうな勢いだ。
期待されていなかった長打力…本塁打量産にヤクルトびっくり
きのうの本塁打は外角低めの難しい球をすくい上げ、打ち終わった後右手を離したが、高々と上がった打球はヤクルトファンが陣取る右翼スタンドに飛び込んだ。インタビューでは「神宮球場で打てて、これ以上うれしいことはない。でも、56本目の方が特別な1本になるよ」と答えていた。並ばれた王は「大したもんだ。見事。パワーだけではホームランは打てない。どこまでいくか、楽しみにも見守りましょう」と話している。まだ22試合残っている。新記録達成となれば東京五輪の年以来49年ぶりだ。
けさの朝日新聞スポーツ面によれば、ヤクルトがバレンティンを獲得したのは長打力ではなく、肩の強さと右方向にも打てる状況に応じたバッティングだった。これほど本塁打を量産するとは思っていなかったらしい。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト