2020年の夏季オリンピック・パラピンリックの開催地に東京が決定したが、拍子抜けするような圧倒的優勢だった。日本オリンピック招致員会は2年以上のロビー活動を展開し、各国のIOC(国際オリンピック)委員に働きかけた結果だが、舞台裏でどんな作戦が進められていたのか。
「クローズアップ現代」が注目したのはこれまでにない日本のロビー活動と最終プレゼンテーションだった。あるIOC委員は「これまで日本はロビー活動が下手だとされてきた。しかし、今回の招致活動でそのようなことが通用しないことが明らかになった」と語り、別の委員も「日本のプレゼンテーションはこれまでにない、まったく別のものであった」と話す。
JOC会長の竹田恒和招致委員会理事長は「今回失敗すれば、私たちの世代での招致はできないという覚悟で取り組んだ」と話す。ライバルのイスタンブールやマドリードが、アラブ諸国のIOC委員に強い影響力を持つクウェートのアハマド委員と接触しているという情報が入ると、ただちにアハマド委員に会談を申し入れ、次期IOC会長の呼び声が高いドイツのバッハIOC副会長との会食も重ねた。
竹田招致委理事長この半年で地球10周
ブエノスアイレスにいる竹田理事長に国谷裕子キャスター尋ねる。「竹田会長は今年だけでも地球10周分を移動して、約50か国を訪問していたと聞いています。これだけの距離を移動するだけでも大変なのに、その原動力は何なのでしょう」
竹田「IOC総会の投票では相手への信頼感とこちらのアピールがどこまで伝わっているのかが大事です。その確信を得るために、何度でも足を運びました」
国谷「IOC委員が持つ関心事や興味を事前に探るということが今回のポイントとなったと思いますが、そのための情報収集には困難があったのではありませんか」
竹田「いろいろな方々からの協力がありました。政界、財界、そして現役アスリートやOBたちの協力。何よりも国民の皆さんの強い後押しがありオールジャパン体制で取り組めたことが勝利を決めたと思っています」