福島被害者どう聞いた?安倍首相プレゼン「原発は完全にコントロール」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   2020年の五輪開催地を決める投票で、東京は終始優勢だったが、投票直前まで薄氷を踏む思いだったらしい。9月4日(2013年)に行われた海外メディア向けの記者会見では、止まらない福島原発の放射能汚染水漏れに質問が集中し、竹田恒夫JOC理事長は立往生するありさまだった。最後のプレゼンテーションで安倍首相はこの問題を積極的に取り上げたが、どう受け取られたのか。

   アイルランドのIOC委員は「安倍首相は汚染水問題に対して明確な説明をした。選手や大会関係者の安全を保障した。この発言が一番のキメ手です」と話す。別のIOC委員も「安倍首相は福島に関する重大な懸念について信頼できる答えをしてくれた」と言い切った。

「調子がいいね」「世界にあんなアピールして大丈夫なのか」

   被災地・福島の避難者たちは安倍首相にスピーチに戸惑いを隠せない。福島市の仮設住宅に避難している女性は「安倍首相は調子がいいね。運がいいということかね」、男性は「水の問題で絶対大丈夫なんて言っているが、世界にあんなアピールしていいのかという感じがします」と話した。自分たちが置かれている現実、収束しない原発事故を目の前にして、安倍首相の発言とはしゃぐ東京に違和感を感じているのだ。

   元共同通信記者の青木理は次のように切った。「はっきり言えることは、『状況が完全にコントロールされている』という(安倍首相の)プレゼンは素晴らしいのかもしれないが、ウソですよ。これを日本国民や福島の人の前でいえないでしょう」

   もともと、東京五輪招致は石原東京都知事(当時)から始まった。その息子で気象予報士の石原良純が青木の意見に口を挟んでこう反論した。「(今回の招致活動の)パワーみたいなものが、今度は福島を助けるもっと大きな力になるかもしれない」

   この論理が最近あちこちで聞かれる。五輪開催を起爆剤に復興するという理屈は、五輪開催がなければパワー発揮ができないとも受け取れ、本末転倒のような気がしてならない。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
姉妹サイト