2020年の夏季五輪開催地を決めるIOC総会(ブエノスアイレス)まであと2日に迫る中、最有力視されていた東京の雲行きが少し怪しくなって来た。投票権のあるIOC委員97人のうち、1回目の投票で49票の過半数を取ればその都市に決定、3都市とも過半数に達しなければ上位2都市の決選投票になる。
原発汚染水問題で1・57倍から1・83倍にダウン。マドリードはアップ
下馬評では東京が頭一つ抜け出ていると見られていた。英ブックメーカーの投票倍率(日本時間5日現在)でも東京が1位の1.57倍、マドリードが2位の3.5倍、イスタンブールが3位の5倍だった。
ところが、大詰めの段階になって、福島第1原発の汚染水問題の影響が浮上し、代わってマドリードの評価が高まってきているという。英ブックメーカーの最新の倍率(日本時間6日朝)でも、東京の1.57倍が1.83倍に、マドリードの3.5倍が2.5倍に変わってきている。
こうした雲行きに現地の関係者は、決選投票を見越した戦略を1回戦で決める戦略に切り替え、手分けしてIOC委員へのロビー活動に全力投球しているという。しかし、そうはさせじとマドリードも懸命だ。イケメン皇太子やNBAレイカーズの人気スター、パウ・ガソル選手を最終プレゼンに投入して追い上げる。
下馬評では過半数に3票足りず
東京の現在の下馬評だが、1回目の投票で獲得できる票は願望も含めて46票と過半数には3票足りない。一方、スペインの地元紙はIOC委員を50人獲得したという報道もでている。
コメンテーターの吉永みち子(作家)「それぞれみんなが弱い部分を抱えており、ここは投票しない口実を与えない戦いになっている。ここまで来ては祈るしかないと感じる」
いまさら言ってもしょうがないが、福島原発事故の収束見通しやデフレ脱却の確固とした見通しも立たない中、7年先の五輪開催が本当に妥当かどうか。電力を消費していた東京が五輪招致で浮かれていては、被災地・福島県民に申し訳ない気持も起きる。