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海外メディア「五輪招致どころじゃないだろ」福島原発・汚染水ダダ漏れ「日本政府の責任」

   その安倍首相が景気回復の起爆剤にしたいと頼みにしているのが「東京五輪」招致である。自らアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席するという力の入れようだ。

   週刊ポストによれば、現在の「票読み」はこうなっているという。<●東京…東アジア、オセアニアを中心とした約3割前後 ●マドリード…欧州と南米を中心とした約4割強 ●イスタンブール…北アフリカや中東などイスラム圏を中心に約2割強>

   だが、ここへきて招致への最大の障害が起きてしまった。東京電力福島第一原子力発電所の汚染水漏れである。『サンデー毎日』が「『東京五輪』を脅かすフクシマ『ダダ漏れ汚染水地獄』」と報じている。<安倍首相自ら先頭に立つ五輪招致も、ここへきて「黄色信号」(超党派の五輪招致議連の自民党議員)が灯っている。その原因は、東京電力福島第一原発の放射能汚染水事故を巡るつたなさだ。原子力規制委員会は8月28日、汚染水の国際原子力事象評価尺度の暫定評価を「レベル3」(重大な異常事態)に引き上げた>

   原発問題への関心は海外で非常に高い。<たとえば、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」は「汚染水をコントロールできない」と痛烈に批判、英紙「インディペンデント」も「事故は収束できるのか」と疑問を呈した。また米CNNや英BBCなどの報道番組も専門家のインタビューなどをまじえ、「技術的、政治的に解決は困難」と報じている>(サンデー毎日)

   外務省OBもこうも話している。<「海外の反応が高まり始めたのは、 7月22日に東電が発表した『汚染水が海に流れた』という時点から。東日本大震災の瓦礫が太平洋を越えて米国にも流れ着いた。潮の流れや海産物には国境がない。そこへきてダダ漏れタンクの問題も発覚した。東電がやったこと、と釈明しても海外から見れば、すべて『日本政府の責任』になるのは当然です」>

   それなのに安倍首相には危機感がないと、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は語っている。<「福島第1原発からの汚染水漏れが明らかになった8月20日、安倍首相は山梨県のゴルフ場で山本有二衆院予算委員長らとゴルフに興じていた。汚染水問題に危機感が足りないのではないか。10月の臨時国会は間違いなく『汚染水国会』になる」>

   その上なんと! 2020年に首都直下型地震が東京を襲う危険があると週刊ポストが書いているではないか。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏がこう話す。

<「貞観地震の9年後に、関東大震災クラスの南関東地震が起きている。史実は、震災の9年後にあたる2020年に首都直下型の地震が起きる可能性を示しているのです」>

   放射能に大地震。こんな危険な都市に五輪をやらせるのか? 週刊ポストは開催が決まっても、放射能問題に敏感な外国人選手の多くが来ないこともありうるとしているが、汚染水問題が処理できなければ、そうした声も上がるはずである。

   五輪開催国はもうすぐ決まるが、もし東京に決まったとしても『茨の道』はその後も続くことになる。五輪よりも被災地の復旧・復興、原発事故の収束をこそ急がなければならないこと、いうまでもない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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