花粉症は春だけじゃない。秋はスギやヒノキの花粉は飛ばないが、ヨモギやブタクサの花粉症が起こる。症状は春と同じで、「くしゃみ」「鼻水」「目の痒み」で、年々増えているという。この花粉症が引き金になって「口腔アレルギー症候群」になる人も増えている。特定の果物や野菜を食べると息苦しくなったり、重症だと呼吸困難になったりする。
花粉症が引き金になって起こる口腔アレルギー症候群―野菜や果物で呼吸困難
兵庫県在住の宮本寿美さん(60歳)は20年間アレルギーの薬を飲み続けている。味噌汁に薬味のネギの刻みは入れない。生のきゅうりや果物が食べられない。48歳の時、サラダのトマト食べて息苦しくなったためだ。その1年後、すいかを2口食べて10分後に吐き気と息が詰まる症状に襲われた。その後わずかな量の大根おろしの付け合せで発作を起こし、救急車で搬送され5日入院した。
兵庫県立加古川医療センターの足立厚子医師が血液検査した。「カモガヤ(イネ科の植物)の花粉症から来る口腔アレルギー症候群でした。花粉症の重症度が高い人ほど口腔アレルギー症候群の頻度も高いんです」
なぜなのか。花粉の中のタンパク質とトマト、すいか、きゅうりのタンパク質が似ているためだ。症状は鼻水、クシャミ、呼吸困難以外に、顏が腫れる、じんましんが出る、唇が膨れ上がるなどある。
秋の花粉症なら「にんじん」「セロリ」「メロン」「スパイス類」注意
それぞれの花粉症と口腔アレルギー症候群を起こす果物、野菜との関連性ははっきりしている。秋のヨモギやブタクサの花粉症は、にんじん、セロリ、スパイス類、メロンなど。パンの木やシラカバの花粉症はりんご、もも、なし、さくらんぼ。カモガヤの花粉症はメロン、すいか、トマトなど。春のスギやヒノキの花粉症はトマトで口腔アレルギーを発症する。
アレルギー源を調べる「クリックテスト」は総合病院のアレルギー科で受けられる。保険適用で時間も15分ほど。アレルギーがあると思われる野菜や果物を持参し、果物などの表面に針を刺し、その針を患者の腕に刺して腫れ具合を見る。
どの食物でアレルギーを起こすかがわかったら、まず食べない事。どうしても食べたい時には、加熱や加工することでかなり抑えられる。また、抗アレルギー薬を飲めば症状は出にくくなる。
(磯G)