2日(2013年9月)に埼玉・千葉県境で発生した竜巻は、建物被害600棟以上、負傷者は64人という被害を出したが、竜巻の通り道にありながら大きな被害を免れた地域がある。国道4号線の東側だ。空白はなぜ起きたのか。米田やすみリポーターがその謎を取材した。
「小さな竜巻が家と家の間すり抜けた」
竜巻の被害地はもう踏んだり蹴ったりだ。きのう3日午前には激しい夕立が襲った。住人の佐々木淳子さんは「竜巻に襲われたとき、あっという間に屋根が吹き飛ばれました。でも、その後に屋根のないところにビニールシートは張りませんでした。ところが、きのう昼前に突然降ってきた大雨で家の中は水浸しです。新しく天井に取り付けた蛍光灯ももう使えません」と嘆く。
ところが、ちょっと離れた地域は竜巻の被害をほとんど受けなかった。米田によると、「竜巻は国道4号線バイバスの西側にある住宅などを直撃して、多くの被害をもたらしました。でも、4号線の東側から桜井南小学校までの間は大きな被害を受けていません」と伝える。
竜巻が4号線を横切る瞬間を目撃した住民はこう話す。「竜巻が歩道橋にぶつかったんです。すると、それまで大きな渦を巻いていたのがいくつかに分かれたように見えました」。別の住民も「竜巻は大きくなく、家と家の間をすり抜けるように進んで行った」という。
専門家「竜巻は進路の先にある建築物で大きく変化」
風工学が専門の東京工芸大学・田村幸雄教授は、「竜巻は進路の先にある建築物などからいろいろな影響を受けます。今回の竜巻では、その先にガッシリした小学校の校舎などがあったため、竜巻被害が少なかった空白の数百メートルが出現したと思われます」と解説する。
9月から10月にかけては竜巻のトップシーズンだという。この週末も九州北部から東北にかけて竜巻が発生する可能性があると、気象庁は注意を呼びかけている。心配なのは福島第一原発が直撃を受けないかということだ。壊れかけの原子炉建屋が崩壊したり、使用済み核燃料プールが倒壊、汚染水タンクが転がる危険は極めて大きい。