福岡でいま日本、アメリカなど9か国が参加してクロマグロの資源を守る国際会議が開かれている。「ニュースアップ!」コーナーで小松靖アナが取り上げたが、改めて日本のマグロ漁の乱獲ぶりに驚いた。会議はクロマグロの幼魚であるメジマグロ漁を規制しようというものだ。メジマグロとはクロマグロの赤ちゃんのことをいい、まだ3歳以下で産卵ができない幼魚のことをいうらしい。
寿司屋などで重宝…成魚クロマグロに比べて仕入値5分の1
驚いたのは、太平洋で水揚げされるクロマグロのおよそ99%は、この幼魚のメジマグロで占められているという事実だ。知識不足を恥じるしかないが、そのメジマグロの水揚げ漁は日本が世界一という。
たしかに中トロの握りなどは絶品。寿司店の店主によると「(クロマグロに比べメジマグロは)脂が柔らかく口当たりがいい」が、値段は「本マグロがキロ5000円ぐらいなのに比べ、メジは800円から1000円と5倍以上違う」という。
産卵ができない幼魚の内に捕獲すれば、成魚のクロマグロが減少するのは当然である。水産庁によると、太平洋のクロマグロの資源量は1960年に13万トンと推定されていたのが、年々減少して2010年には2万トンまで落ち込んでいるという。再生産にブレーキを掛けるような捕獲のあり方は早く見直したほうがいい。
最低でも漁獲量15%削減!マグロが食べられなくなる
今回の会議で日本は02~04年の平均漁獲量から15%削減する案を提案しているが、アメリカは25%の削減案を提出する予定という。削減による食卓への影響について、三重大学大学院生物資源学研究科の松井隆宏准教授はこう指摘する。
「15%は多少跳ね返ってくるが、養殖の生産量も上がっているので供給量や値段に大きな影響はないでしょう。少なくてもそのくらいの削減をしないと、マグロが食べられなくなります。最初の一歩としては意味ある値の設定です」
司会の羽鳥慎一「形が小さければ海に戻すということをしてこなかったのですかね。どう考えたって海にかえした方がいい」
小さいといったってメジマグロの2歳は体長70~80センチ、体重15キロ前後ある。これと成魚を細かく分けていくのは難しいだろうし、マグロははえ縄にかかった段階でほぼ半死状態である。海に戻せといっても簡単ではないのだ。そもそも、京料理ではマグロの刺身は味が淡白だということで、昔からもっぱらメジマグロを重宝してきた。
小松「世界のクロマグロの8割を日本人が消費しているというデータもあり、われわれに突きつけられている課題です」