アニメ映画の宮崎駿監督(72)が引退する。5年ぶりの新作「風立ちぬ」がコンペティション部門にノミネートされているベナチア国際映画祭できのう1日(2013年9月)、スタジオジブリの星野康二社長が明らかにした。監督は映画祭に出席しておらず、6日の金曜日に引退の真意を語る。
「自分の作った映画で泣いたのは初めてです」
「風立ちぬ」は零戦の設計者で知られる堀越二郎氏をモデルに、関東大震災から戦争へと進む激動の時代を描いている。実在の人物を登場させたのは、宮崎アニメでは初めてで、その製作の意図を宮崎監督は7月にこう話していた。
「また同じ時代が来たから。まさに同じ時代だと思う。みんな不安だ、不安だとはやりのようにいってるけど、不安なんて、20世紀にさんざん思って『ナウシカ』を作った。いまさらね」「いま必要なのは世界はどこへ行くのかっていうもっと大きな視野だと思う」「『風立ちぬ』は精一杯生きた人たちがいたことを描いた。力を尽くして生きてほしいというメッセージです」
6月19日に行われた試写会で、「恥ずかしいんですけど、自分の作った映画で泣いたのは初めてです」と話した。珍しいことだった。「これが最後」という思いだったのかもしれない。
「風立ちぬ」は日本時間のけさ4時頃、ベナチア映画祭で上映された。コンペの結果は8日の未明に発表される。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト