古市憲寿にハゲしく同意「戦後世代は世界で稀有な『平和体験』こそ語れ」
8月29日(2013年)の朝日新聞「論壇時評」で作家・高橋源一郎が書いていることが気になっている。1985年生まれの古市憲寿が、その国が戦争をどのように考え、それをどう記憶しているのかを知ることができる場所である世界中の戦争博物館を訪ね歩いて書いた『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)を引き合いに出し、こう書いている。
<「戦後」という時代は、「戦争の体験」を持つ人たちが作り出した。だとするなら、その後に来るのは、受け売りの「戦争の体験」ではなく、自分の、かけがえのない「平和の体験」を持つ人たちが作る時代であるべきだ、という考え方に、ぼくは深く共感する>
私は1945年11月生まれだから、本物の戦争は知らない世代である。以後、日本国憲法のおかげで戦争に巻き込まれることなく、人生を終わりそうである。
われわれのように戦火を経験しないで人生をまっとうする世代は極めて珍しいであろう。明治維新から見てみても、大小の戦争が起き、われわれの祖父たちは否応なく戦争にかり出された。われわれ世代が、若者たちに「戦争の悲惨」さや「平和憲法を守れ」といい募っても説得力がないのは、これまで何度となく体験してきた。
これからは、「かけがえのない『平和の体験』を持つ」若者たちが、平和を守るために何ができるのか、平和を持続させるためにはどうすればいいのかを考える時代になったことは間違いない。われわれ世代は一歩引いて見守ろうではないか。