米国などによるシリアへの軍事介入が秒読み段階に入っている。アサド政権がダマスカス郊外で化学兵器を使用したことの具体的根拠を示す報告書を29日(2013年8月)にも公表するという。
軍事介入に踏み切れば、周辺の産油国への影響は避けられない。中東原油に9割を依存する日本は「軍事介入が中長期化すれば、アベノミクスは振り出しに戻る」という指摘も出ている。
市場はすでに先取り!石油価格高止まり、日経平均2か月ぶりの安値
緊迫したシリア情勢を受けて、すでにガソリン価格が急騰している。資源エネルギー庁が28日に発表したレギュラーガソリンの全国平均価格(26日時点)は1リットル当たり160円20銭で、4週連続の160円台となった。
株式市場の反応も敏感で、きょう29日は反発しているが、28日の日経平均株価終値は1万3338円46銭と前日比203円91銭下落し、2か月ぶりの安値になった。為替相場はドルに比べて相対的に安全とされる円を買う動きが強まり、一時1ドル=96円の円高となった。
しかし、軍事介入が始まれば、影響はこんなものでは済まないだろう。第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストはこう分析する。「軍事介入に踏み切り紛争が長引けば、アベノミクスが振り出しに戻るような動きになるでしょう。アベノミクスは超金融緩和によるデフレ脱却の期待感から円安が進み、それを受けて株価も大幅に上昇しました。景気も回復基調を強めていましたが、リスクが大きくなれば、株のようなリスクの高い資産は売ろうという動きが世界的に出てきて、日本も影響を受けます。為替も当事者のドルのリスクは円に比べ相対的に大きいと判断され、ドル売り円買いの動きになる。アベノミクスが持ち上げた景気が潰されかねません」