シリア情勢が緊迫している。軍事介入が秒読み段階にはいり、早ければきょう29日(2013年8月)にも空爆が始まるのではないかという米メディアの報道もある。シリア政府が内戦で化学兵器を使用したというのが理由だが、その証拠はまだ明確に示されていない。思い出すのは10年前のイラク戦争だ。大量破壊兵器の保有を大義名分としながら、結局、確認されなかった。その二の舞いの恐れはないのか。
明確な証拠示せず…イラクの二の舞恐れる米国内
「8時またぎ」コーナーでワシントン支局の山口敬之記者が最新ニュースを伝える。
「日本時間のけさ7時から(2013年8月29日)、オバマ大統領がテレビのインタビューに答え、アサド政権が自国民に化学兵器を使用したと結論付けたと初めて断言しました。あとは大統領の最優決断を待つばかりです」
司会のみのもんた「大統領が結論付けた根拠は、どんなことろから来ているのですか」
山口「その根拠は、いずれかのタイミングで示すものとみられています」
みの「アメリカ国内ではどんな反応なのですか」
山口「正直なところ、シリアの内戦に深入りすべきでないという意見が大勢を占めています。メディアの世論調査でも2割とか9%しか支持していないという結果も出ています。 しかし、先週水曜日(2013年8月21日)にダマスカス近郊で子どもや女性が化学兵器とみられる攻撃でもだえ苦しむ映像が全世界に配信され、何もしないわけにはいかなくなり、限定的かつ計画的な軍事行動に踏み切らざるを得なくなったというのが実情のようです」
化学兵器に使用をシリア政府は否定しており、国連の調査団が調査に乗り出しているが、銃撃を受けるなどアクシデントもあり、厳密な調査ができるかどうか難しいとみられている。また、武力行使に国際的なお墨付きを与えるのは国連安保理の決議だが、アサド政権を支持するロシアの反対で採択の見通しは立っていない。
安倍首相「責任はアサド政権」武力行使どこまで支持するのか
みのがスタジオのコメンテーターに聞く。「いくら限定的といっても、紛争が始まりますね」
金井辰樹(東京新聞・中日新聞政治部次長)「いまのワシントンの山口記者の話を聞いても、アサド側の化学兵器使用を結論づけたというが、具体的な根拠についてはまだ説明していない。そのこと自体がアメリカの危うさを感じます。武力行使は始める決断も大変だけど、終わらせる決断がはるかに難しい。計画通り行くかどうか、はなはだ疑問です」
北川正恭(早稲田大学大学院教授)「イラク戦争の失敗もあるので、理由が明確でないといけない。安保理での中国、ロシアの対応もある。もう1回、慎重に検討してほしいですね」
小松成美(ノンフィクション作家)「化学兵器を使用したとすれば言語道断だが、米、仏、英は安保理の決議なしでも軍事行動に出ようとしています。日本はどういう立場をとっていくのか。仲介役を担うことはできないのでしょうか」
安倍首相はきのう訪問先のカタールで、「化学兵器が使用された可能性が極めて高い。情勢悪化の責任はアサド政権にある」と述べ、アサド政権を強く批判して「今後は各国と連携をとり、事態改善にあたっていきたい」と述べた。イラク戦争では、当時の小泉純一郎首相は日米同盟重視の立場からいち早く支持を表明したが、安倍首相はどう対応するのか。