福島第1原発では、「熱」との戦いに続いて起こった「水」との戦いでも「深刻な事態」が一向に収束できない。水がどうにも制御できないのだ。本来の冷却水に加えて、1日に何百トンという地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込むなどして、高濃度の放射能汚染水が想定外に発生した。地上を埋め尽くすかのようにタンクを建てて汚染水を「保管」しているが、それではラチが明かないというので巨大な貯水槽を作ったが、これが水漏れして、タンクに移したら今度はタンクから水漏れする――という悪夢のような展開である。汚染水漏れを起こしているのと同型タンクは約350基ある。
一部は排水溝から直接海へ
タンクからの300トンの汚染水は地下に染みこみ、さらには一部は排水溝から直接原発港湾外の海に流れ出てたおそれがある。他のタンクからも水漏れしている可能性があるという。水漏れなどに対しては一応の対策は取られていたのだが、結局のところ、考えが不十分だったり、形骸化していたり、手が回ってなかったりして、想定外の事態が起きたことがいつもあとになってわかる。
そうした汚染水、地下水対策ともに「手詰まり」な状況は、「とくダネ!」でも連日のようにこま切れで伝えられるが、「同様のタンクはほかにもあるんで、ちょっと気がかりだ。どうなるんでしょうかね」という小倉智昭キャスターのコメントには、緊張感があまりないようであった。
原発事故以降は、想定外の異常で危険な出来事や状況は当たり前の日常茶飯事。しかし感覚が麻痺して、それに慣れてしまったり、無関心になるのも異常で危険なことなはずである。他人事のように書いているが、筆者の自戒でもある。