東京都はきのう21日(2013年8月)、首都圏の水がめ小河内ダムの奥多摩湖で「人工降雨装置」を12年ぶりに稼働させた。午後2時に装置を動かすと、15分ほどで雨が降り始め、45分後にはかなりの粒になった。雨量は1時間に11ミリだったが、都は「装置の効果かどうかはわからない」という。
60年代に1800万円かけて設置。雨降らせ賃1回2万円
静岡ではきのうで16日連続の猛暑日となって、最長記録を更新中だ。各地で水不足がいわれるが、首都圏に水を供給している利根川水系のダム貯水量は平年比60%しかない。7月24日以降、10%の取水制限が続いている。もうひとつの多摩川水系の小河内ダムも貯水率は66%だ。
小河内ダム周辺には4か所の人工降雨装置がある。1960年代の水不足のとき、都が1800万円をかけて設置したものだ。ヨウ化銀とアセトンを混ぜて燃やし、その蒸気を雨雲に向けて吹き上げる。雨雲を刺激するもので、雲のない晴天では機能しない。これまでに800回動かしており、厳密にはこれによってどれだけ降ったかはわからないが、雨量を5%増やしたと試算されている。費用は1時間2 万円だという。
前回動かしたのは2001年8月で、やはり利根川で取水制限が出たときだった。このときは1時間に23ミリの雨が降り、当時の石原慎太郎知事が「これすごいよ。今でも降ってる。洪水になるんじゃないか」と冗談をいったものだった。
装置は見たところ簡単なもので、建屋の屋上にある煙突のようなものから蒸気を吹き上げる。きのうは関係者、報道陣のほか、大勢の見物人が見守る中で、午後2時にゆるゆると煙突が開いて放出が始まった。ほどなく雨が降り始め、午後2~3時に11ミリ、5時からの2時間で17.5ミリを記録した。雨雲は気象レーダーにも写っていた。
しかし、都水道局は「(雨と人工降雨装置とは)関係あると思います」と何だか頼りない。「わらにもすがる思いで使っている施設で、渇水の切り札になるものではない」のだそうだ。専門家も「まだ基礎研究で、実用化はこれから」という。