15歳の女子中学生の1通の手紙が生んだ嬉しいお話だ。東日本大震災で1000人もの死者・不明者を出した釜石市で先週末「渋谷109」がオープンした。しかも、中学生のデザインしたアイテムが売れた。「LOVE KAMAISHI」誕生物語である。
直接の手紙「みんな笑顔になる提案です。少しでいいので手を貸してください」
昨年9月(2012年)、109の大石次則社長(東急モールズデベロップメント)宛に手書きの手紙が届いた。差出人は釜石の中学3年生(現在)の打越佳奈さん(15)で、「釜石のみんなに笑顔をと、面白い提案を思いついた」とあった。「釜石の中高生が考えたデザインを参考に」「プロが作った服を釜石だけで売る」「1人ではできないので、少しでいいので手を貸してくれませんか」という提案と要請だった。
大石社長は「ただ109が好きというのではなく、釜石の復興につなげたいと、ある意味、非常に大人びたメッセージでした。感激しました」という。109はこれに応えて、お盆休みの3日間、109の18のブランドが出店するイベントを開催する企画を立てた。釜石市も全面協力し、佳奈さんも友人たちに協力を頼んだ。
5月からオリジナルグッズのデザインを始め、トートバッグやワンピースなど4つの商品を提案した。6月に佳奈さんらは上京して、自分たちのデザインが形になったのを見た。RODEO CROWNSではワンピース、デニムシャツのAvan Lilyでは、プロデューサーの木下優樹菜が「チョリーッス」と現れた。帰ってからも、イベントの告知が足らないからと、自分たちで街頭に立ってチラシを配ったり、直接お店にポスターを貼ってもらうよう頼んだりして歩いた。
自分たちでデザインした服を売りファッションショーにも出演
会場はシープラザ釜石。イベントには109とテナント、釜石市から300人が参加した。もちろん佳奈さんらもいる。ミーティングで佳奈さんがあいさつした。「ありがとうございます」からはじまったが、だんだん感激して涙があふれて声にならない。やっと「たくさんの方に関わっていただいて嬉しいです。一生懸命頑張ります」といって、拍手でスタートした。
開場前から200人が列を作り、県外からも来るような盛況で、50づつ4種類用意したオリジナル商品は大人気で、佳奈さんデザインのワンピースは完売した。「やばい、めっちゃ嬉しい」
最終日にはファッションショーがあった。ライブもあって、人気モデルに混じって、佳奈さんら中学生も自分たちのデザインを身につけて参加した。プロの手でメークアップすると、まあ、これが中学生!? かくて佳奈さんたちの夏は輝いたのだった。
司会の加藤浩次「動いてみるもんですね。行動力は大事」
キャスターのテリー伊藤「1通の手紙が日本を動かしてる。映画を見たりして泣くことあるけど、自分で何かをして泣くってことはあまりない。いい経験したね」
「学校からの帰りに友だちと話していたアイデア」だと佳奈さんはいう。おそらく日本一幸せな夏を過ごした中学生だった。