「お猿の学校」で一大ブームを巻き起こした日光市柄倉にあるテーマパーク日光猿軍団が、年内(2013年)で解散することを決めた。井上貴博アナによると、福島原発事故による客足減とサルの高齢化が理由だという。猿軍団は1991年に結成され、翌年には常設劇場を設置。テレビに登場したことで一躍人気となり、90年代には年間入場者数が100万人を超えていた。
韓国・台湾の調教師は放射能恐れて帰国
猿軍団の創始者である間中敏雄社長は「あのことさえなかったら、閉園しようとは考えなかった」と悔しさを滲ませた。あのこととは福島原発事故だ。「たくさんの放射能がまき散らされました。さまざまな風評も流れ入場者数も激減しました」
井上「原発事故が起きる前年の2011年には年間入場者数は90万人近くでした。事故直後に4割減となり、いまも3割減の状態が続いています。さらに、サルの調教は韓国や台湾などからの調教師が担当していましたが、事故後にほとんど帰国してしまい、調教ができる人がいなくなってしまったのです」
韓国に帰国した女性調教師は「事故直後に実家からいますぐ帰ってこいという連絡が入りました。私は年内には戻るという約束で帰国しましたが、今も戻れない状況が続いています」と電話口の向こうで話した。
人間だったら60~80歳の生徒たち…公演終わるとヘトヘト
閉園理由のもう一つがサルの高齢化だ。現在28匹いるサルのほとんどが20歳前後で、人間なら60歳前後に相当する。最高齢は80歳にもなる。間中社長は「1回の公演が終わると猿たちは疲れた顔をして帰ってくる。大丈夫かと声を掛けると、『お前の方こそ大丈夫?』という表情で見られることもあるんです」と苦笑した。
閉園後、猿たちはどうなるのか。間中社長は取材スタッフを山に案内して「あの山林を柵で被い、猿たちをここに放そうと思います。そして、食事の時にやってきて餌をやり、食べ終わったら好きな場所へ戻っていく。それがサルにとって一番良い生活ではと思っています」と寂しげに話した。サルたちと共に歩んできた間中社長の人生だった。
そこで提案。12月31日に「卒業式」という形で閉演する予定だが、それまでの間、サルたちのリタイア後の生活費(エサ代)として、入園料のほかに「猿軍団年金」としてカンパを募っちゃどうか。