千葉県北部のニュータウンに「奇跡の原っぱ」があるという。ホンドギツネなど絶滅危惧種136種が生息する。ホントかよと思う。大竹真 のリポートがなかなか面白かった。
印西市など3市にまたがる千葉ニュータウンは、東京から成田空港を結ぶ北総線の印西牧の原駅の周辺にある。1969年から開発が始まり、1900ヘクタールのうち8割の工事が終わっている。高層から戸建てまでの住宅街に、付随して大型商業施設や公園も整備され、都心までは1時間、住み良さランキングで2年連続1位(東洋経済)という土地だ。
ホンドギツネなど貴重な動植物…県企業庁と都市再生機構が開発計画
問題はこれから開発する50ヘクタール、東京ドーム11個分の原っぱで、これが「奇跡の原っぱ」と呼ばれる。なぜ奇跡かというと、土地を造成したあと40年間も工事が行われなかったために自然が適度に再生され、他の区域の開発で追われた動植物がここに集約されて新たな生態系をつくったのだった。
日本自然保護協会によると、オキナグサという植物(千葉ではもうここだけ?)とか、ジャノメチョウ、ホンドギツネ、さらには貴重なトンボ類、花、チョウ、水鳥など、名前を公表できない(採りにくるバカがいるから)ものも含めて、環境省指定の絶滅危惧種が27、千葉県指定109種あるという。「関東でまさかこんな景色に出合えるなんて」という原っぱなのだ。
ホンドギツネは2年前に撮影された写真があり、現地を案内してくれた「亀成川を愛する会」の小山尚子さんによると、千葉県ではほ乳類の中でトップの絶滅危惧種だという。大竹が「いるんですか」と驚く。印西近辺では昔から生息していて、地元の民話にもでてくる。
小山さんは「壊したら元に戻るのに時間がかかる」といったが、いや絶対に元には戻らない。ここが造成計画の結果できた新たな自然というのも何とも皮肉だ。まあ、あまり聞いたことのない自然の妙というか…。