消費税を来春(2014年)に8%に引き上げるのか、引き上げないのか。きのう(2013年8月12日)、内閣府は4~6月の国内総生産(GDP)の速報値を発表したが、物価変動の影響を除いた実質成長率は前期1~3月期より0.6%増え、年率換算で2.6%増のプラス成長となった。消費税引き上げの目安としている数値に近い水準になったが、懸念材料もあり、安倍晋三首相は9月以降、難しい判断を迫られる。
政権内でも両論―財務省・日銀は積極的。安倍ブレーンは慎重派
消費税引き上げは昨年8月、自民、公明、民主の3党合意で決まったが、実施には「経済状況の好転」という条件がついていた。その目安は2011年度から2020年度の10年間の平均成長率が「年率で名目3%、実質2%」としている。今回、名目成長率も0.7%増え年率2.9%増となり、目安に近づいた。だが、内容をみれば、懸念材料もある。消費や輸出は伸びているが、本格的な景気回復の鍵となる設備投資は0.1%減り、住宅投資も0.2%減となっている。
増税によってせっかく上向いてきた景気を失速させては元も子もない。といって、見送ると日本は財政再建に本気ではないとみられ、国債が下落、金利の上昇を招き、景気の足を引っ張る。
2.6%という数字、どう受け止めればいいのか。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「中途半端な数字だと思います。(増税に)慎重な人たちの慎重論を崩すまでには至らない数字」とみる。
政府とその周辺にも両論ある。麻生太郎財務相は国際公約ともなっている増税は予定通りやるべきとの考えだ。黒田東彦日銀総裁も増税と脱デフレは両立するといっている。一方、安倍の経済政策のブレインで内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は慎重派で、1%ずつ小刻みに上げてはどうかといっている。
政治家心理「不人気政策は選挙が遠いうちに片づけたい」
けさ13日の朝刊各紙をみながら、夏休みのみのもんたの代役で司会を務める井上貴博アナが「政府内でも意見が分かれているようですが、上げることは間違いないのですか」」と聞く。
コメンテーターの潟永秀一郎(『サンデー毎日』編集長)「上げざるを得ないでしょう。上げないと、国債が暴落して金利が急上昇する恐れがあります。それと、3年後にダブル選挙がほぼ確実視されています。政治家の心理として、国民に負担を与える決断はなるべく早くやっておきたいという心理が働きます。ただ、国民の間にまだ景気回復の実感がない。そこが問題です」
杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)は「小刻みに上げるやり方は、国会で無理と結論が出た話です。まあ、本音では、安倍首相は上げたくないという人が多いですね」と話す。
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「メリット、デメリットを総合的によく考えて判断してほしい」
まあ、三人三様だ。政府は各界約50人の有識者の意見を聞くといっているが、専門家でも意見が分かれるのだからさまざまな意見が出るだろう。どっちを選んでも異論は出る。潟永は「最後は政治決断」といったが、今後の日本の行く末を大きく左右する決断になる。