安倍首相が消費税増税の景気への影響を見極めようと、有識者50人から意見を聞くよう関係大臣に指示した。引き上げるかどうかいよいよ詰めようというわけか、あるいは単なる引き上げのためのポーズか。
甘利明経済再担当相によると、「『極力予断を持たずに幅広い意見を聴取せよ』という指示があった」という。「賛成派もあれば、ネガティブな見方を持つ人の意見も真摯に聴けということ」らしい。
安倍首相「消費税増税」で有識者50人から意見聞け!
50人の有識者として名前が挙がっているのは、米倉弘昌経団連会長や豊田章男トヨタ自動車社長のほか、地方自治体の首長、主婦連合会会長、温泉旅館の女将、24歳の直木賞作家・朝井リョウなど幅広い。
安倍首相の経済ブレーンである本田悦郎内閣官房参与は「3%の増税をするとインフレ期待を阻害する」、もう一人の経済ブレーン・浜田宏一内閣官房参与もこの段階の3%増税には消極的だ。経済の専門家がこうした意見を持つなかで、50人の有識者から話を聞いても、賛否両論まとまらないのは容易に想像され、どんな意味があるのか勘ぐりたくなる。
「意見薄くなるし官僚にコントロールされる」
コメンテーターの崔洋一(映画監督)は「幅広いという印象は受けるが、『意見を聞きました』というアリバイつくりなのでは。上げるというのを前提に全体の仕組みが動いているのではと、私は判断をしています」という。
飯田泰之(明治大政経学部准教授)は「50人というものすごい数で、広く意見を聞くのは聞こえはいいかもしれないが、よくない部分もありますよ。意見が薄くなるし、とくに経済の専門家でない人はどうしても事前に官僚の説明を受けてから臨むので、官僚にコントロールされる」という。
この准教授の言う「専門家でない人」とは誰を指すのか。まだ意見聴取されていないのにこう極めつけるのは大変失礼だろう。実体経済の現場を知らず、机の上で書物の知識だけに頼る学者より、温泉旅館の女将のほうが実践経済学の知識、体験は上かも・・・。