おととい4日(2013年8月)、種子島から打ち上げられた物資補給機「こうのとり4号機」に、珍客が乗っていた。背丈は34センチ、重さ1キロの小さな人型ロボット「キロボ」 だ。11月に飛ぶ若田光一さんと会話をするためのもので、ひと足先に国際宇宙ステーションに運ばれた。
コミュニケーション・ロボット「キロボ」お相手は11月に飛ぶ若田光一さん
国際宇宙ステーションは、アメリカ、ロシア、カナダ、日本などが建設した宇宙実験施設で、現在、6人の宇宙飛行士が滞在中だが、「こうのとり」は、 水、食料、実験機器など約5トンを運ぶ。今回はその中にロボット宇宙飛行士がまじっていた。
リポーターの西村綾子が打ち上げ直前の種子島で開発者に取材した。東大先端科学技術研究センターの高橋智隆・特任准教授はロボット開発の先駆者で、電池を使った「エボルタ」などで知られる。3年前、「宇宙で活躍できるロボットはどんなものか」と、宇宙ステーション内で宇宙飛行士と会話をするコミュニケーション・ロボットを考えた」という。
6月に公開された「キロボ」は、「こんにちは。僕、キロボです。ロボット宇宙飛行士なんだ。よろしくね」「何をするの?」「若田さんと宇宙で会話実験をするんだ」「すごいね」「うん」と会話をして記者たちを驚かせた。小学校を訪れて、子どもたちとおしゃべりしたり握手をしたりもした。
電通ビジネス・クリエーション局コピーライターの西嶋頼親さんは「(若田さんは)究極の環境で日本人は1人。何か新しいコミュニケーションのハブになるとか、人と人とのコミュニケーションが生まれるかなと」という。ストレス軽減にもなるだろうというわけだ。
無重力の宇宙でちゃんと動くか…
ただ、働くのは無重力の宇宙空間だ。高橋氏は「宇宙で当たり前に安定して動くためにはさまざまな企画、試練があった」という。無重力状態で動くかどうか。熱をもったとき電磁波の干渉をうけないかなど13項目に及んだ課題を一つひとつクリアしていった。
最大の特徴は、人間同様にごまかしたりもすること。従来のロボットだと、質問がわからないと「わからない」と黙りこんだりするが、キロボは相手の感情を読んで、同じ質問にも違う答えだったりするなど、きわめて人間的なのだそうだ。この技術には、カーナビやスマホのインターフェイス技術も使われた。トヨタ自動車のワザも入っている。
キロボと同じ機能をもつ「ミラタ」というのもあって、西村の問いに「バックアップクルーなんだ。地上からキロボをサポートする」と答えた。高橋氏は「将来は、ロボット同士が勝手に会話するようになる」という。「相性80%の人とすれ違ったよ」「あの人がぴったり」などと笑う。ご主人のうわさ話もあるのかもしれない。
司会の加藤浩次「1家に1台の時代がくるんでしょうか」
キャスターのテリー伊藤「子どもは好きだからしゃべったりするんでしょうね。一人っ子なんか」
西村「15年後には、1人1台の時代が来るといいます」
加藤「スマホみたいな感じ?」
テリー「人生相談もできる?」
こうのとりは今週土曜日に宇宙ステーションとドッキングするそうだ。いまいる6人の宇宙飛行士は日本語がわからないから、11月の若田さん到着までは待機になる。