宣伝DVDにも出演していた京都府立医大・松原弘明下元教授
京都府立医大の研究チームの責任者の松原弘明下元教授は、ノバルディスファーマのディオバン宣伝用DVDに出演し、「心臓、腎臓、脳の合併症のある方に対してはファーストチョイスで使うべき薬だ」と推奨していた。元教授の研究室には、ノバルディスファーマ社から2009年以降4年間に1億円を超える寄付金があったことも分かった。大学の研究室が企業から受ける寄付金としては抜きんでた額という。
取材にあたった科学文化部の稲垣雅也記者は「ノバルディスファーマは『会社ぐるみの関与はなかった』と否定しています。元社員の臨床研究への関与は直接の上司だけしか知らず、その上司は元社員が大学の非常勤講師だったので、その立場で関わっていたと思っていたと話しています」
臨床研究の問題に詳しい東京大学の渋谷健司教授は、臨床研究の体制の遅れについてこう述べた。「今までモラルの頼りすぎたきらいがありますね。法的拘束力あるルールづくりとか、実際に臨床研究する病院では人やお金が少ない現状とか、問題が起こったときに調査権限を持つ機関がないなど、3つの問題が浮き彫りになりました」
製薬会社との癒着が起きやすい臨床研究を教授の裁量に任せておいていいのか。遅ればせながら癒着しやすい構造が問われる結果になった。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2013年7月31日放送「疑惑の薬~論文データ操作の闇~」)