DJポリスはなぜ人気?人を動かす共感力―販売戦略、住民合意も「いいね」効果

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   映画を観て感動する。野球やサッカーに熱狂して泣いたり笑ったり――これらに共通するのが「共感」だ。ネットワーク(SNS)だと「いいね」 のクリックがこれにあたる。そして、瞬時に拡散、共有できる。いまこの共感力がさまざまに注目されているという。

   伊藤ハムのゆるキャラ「ハム係長」がソーシャル・ネットワークでつぶやく。「きのうは調子にのって飲み過ぎました」「お給料前でとっても厳しいです」…切り身のハムに「公」と顔を描いた姿が女性に人気だ。書きこんでいるのは40代の広報課の社員で、「社長や部長ではなく、係長というところが親近感をえているのかな」という。

   ハムは価格競争ははげしく、見た目の区別もつき難い。そこで、商品よりも会社に親近感をもってもらおうという戦略だ。2年で6 万人近いファンを作ったという。

伊藤ハムのゆるキャラ「ハム係長」情けない愚痴に親近感

   富士フィルムの化粧品部門は消費者の共感を数字に置き換えようとしている。「エンゲージメント率」といって、ネットで「いいね」を押してくれた割合のことだ。この数を上げるために、記事の内容や順番を戦略的に決めている。結果、「いいね」は同業他社の4倍近い。宣伝臭くなると、とたんに消費者はサイトから遠ざかり、共感は失われるのだそうだ。

   パナソニックは小型食器洗い機の販売戦略の一環で家事に関する意識調査を行い、夫婦の間で押し付け合いになっている家事の1位が「食器洗い」と出た。マーケティング会社はこれを意識的に強調した。「いいね」による共感が急速に広がり、販売台数は前年比プラス22%になった。クリエイティブ・ディレクターの箭内道彦氏は「ニーズを巧みに掘り起こした例だ」という。

   国谷裕子キャスター「見てる人はみなわかってるんでしょ」

   箭内「わかってますよ。でも、いい広告は1対1、自分に語りかけているのがいちばん。ハム係長が情けないことをいうのも共感をつくる第一歩なんです」

   共感力は問題解決の役にも立つ。おととい23日(2013年7月)、都内を襲ったゲリラ豪雨で葛飾区の花火大会が中止になった。ここに登場したのが例の DJポリスだ。会場への誘導では「自慢の彼女をしっかりとエスコートしてあげて」、雨にぬれた観客には「風邪をひかないよう、温かいお風呂に はいって」とやって大人気だった。

   かつて、サッカーのワールドカップのときに、渋谷交差点のサポーターと警察は対峙した。その反省から、人々に寄り添って共感でという戦略転換が功を奏している。雨の中、DJポリスには「がんばって」の声が飛んでいた。

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