グーグル、ヤフーなどからデータ直接入手
NSAは全米の20か所に通信傍受を行なう拠点を設け、メタデータを収集している。カバーしきれないデータは、グーグルやヤフーなど大手インターネット企業から直接データを入手する仕組みも整えている。これがスノーデンが告発したコードネーム「プリズム」と呼ばれる監視システムだった。
「企業に対象者のデータが欲しいと言うだけで入手することができる。どこへ行こうとNSAから逃れることはできないのです」(ビリー)
国際関係の立場からサイバーセキュリティーを研究している慶応大学の土屋大洋教授はこう解説する。「アメリカがアクセスできるネットワークから情報を取れるというのはその通りと思うが、全世界すべてというのは大げさと思いますね。日本の中だけで完結している通信とか日本と直接繋がっている国との通信は、事業者の協力がなければ取れない。たとえば、パキスタンとかアフガニスタンにいるテロリストが、ロンドンと連絡をとる場合はアメリカを経由することが多い。その場合はアメリカにとって有用な情報になるでしょう」
今回のスノーデンの衝撃的な告発でNSAの監視システムは後退するかというと疑問である。NSAの監視活動によるテロ対策について、世論調査では「行き過ぎ」45%、「不十分」40%と拮抗している。アメリカではまだテロに対する不安が強いのだ。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2013年7月17日放送「世界を監視するアメリカ~『スノーデン告発』の衝撃~」)