きのう17日(2013年7月)、第149回芥川賞・直木賞の選考会があり、ともに女性作家の作品が選ばれた。芥川賞は藤野可織さん(33)の『爪と目』、直木賞は桜木紫乃さん(48)の『ホテルローヤル』に決まった。女性が選ばれることはなにも珍しいことではないが、2人のヒロインの意外な素顔を紹介した。
直木賞・桜木紫乃「実家のラブホテル手伝い目の当たりにした男と女の裏側」
「ホテル屋の娘に生まれて良かったです」
直木賞の桜木さんは受賞後の会見でそう答えていた。北海道釧路市の生まれで、実家がラブホテルを経営していた。そのホテルの名前が題名の「ホテルローヤル」だった。作品はラブホテルを舞台にした人間模様を描いた短編をまとめたものだ。思春期の頃から部屋の掃除や食事を届けるなどの手伝いをして、多くの男女の舞台裏を見ながら育ち、いつかは作品に書きたいと思っていた。
今回の受賞で「自分の来し方にけりをつけることができたのではないか」という。また、子どもたちに「頑張って続けていれば、いつか何かになっているよ、ということを言葉じゃないところで伝えられたかもしれない」と喜びを語った。
京都生まれ京都育ちのはんなりお嬢さんは大のホラー好き
藤野さんは京都市生まれの京都育ち。はんなりした雰囲気のお嬢さんのように見えるが、大のホラー好きで、作品もホラーのような怖さを秘めている。父親とその不倫相手との同居生活を3歳の娘の目を通して描いたもので、表面上はやさしい人のように振舞いながら、実は底意地の悪い人物の表現が巧みとの評もあった。ホラー映画を見ながら受賞の知らせを待っていたそうで、100万円の賞金は奨学金の返済にあてるという。
受賞決定後、選考委員との歓談中に無理に頼んで2人にインタビューしたレポーターの大竹真が感心したようにいう。「忙しい中、こちらがわがまま言ったのに、お待たせしてすみませんでしたと。おふたりとも人柄がいいなあと感じました」
コメンテーターのおおたわ史絵(内科医、執筆家)「『ホテルローヤル』は映像化されるんじゃないですか。いかにもドラマですよねえ」
菊地幸夫(弁護士)「桜木さんは裁判所の職員をされていたそうですね。裁判所にも男女の問題がいろいろ持ち込まれますから、いろいろな人間関係を見てこられたんでしょうね」
芥川賞、直木賞とも受賞のたびに話題になるが、これから先もますますのご健筆を。