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週刊ポストは「世相評論誌」になってしまうのか…生っぽい記事が見当たらない

   このところの『週刊ポスト』は「世相評論誌」を目指しているようである。それはそれで一つの行き方ではあると思うが、週刊誌らしい生き生きした「生っぽい」記事がなくなってきているのが気になる。

   今週のラインナップを見てみても「小沢一郎と西郷隆盛」(いまなお小沢を取り上げて何をいおうとしているのか、その真意がわからない)、「皇太子・雅子妃バッシングの『元凶』は安倍晋三である 小林よしのり」(安倍首相が女性宮家創設の方針を完全に白紙化してしまったことへの批判だが、あとはいつもながらの小林節だけ)、「『ブラック企業叩き』のなんとなくイヤーな感じ」(週刊文春のワタミ渡辺美樹叩きを意識してのことなのであろうか。だが、ホリエモンのツイッターの「ブラック企業」についての発言、「嫌だと思ったら辞めればいいのでは? 辞めるの自由よん」「会社行かなきゃいいじゃん。起業すりゃいいじゃん」には、私は違和感を感じる。こうした自己責任説はブラック企業で働いて本当に悩んでいる人たちへの配慮がなさ過ぎる)、「女尊男卑行きすぎてやしませんか?」(世の中何で「レディース割引」ばかりなんだ。「合コン」で男が高いのはおかしくないか。安倍首相がいった「役員の半数を女性に」に違和感。女性の「育休3年」は男女ともにためにならない等々。セックスだって辛いのは男ばかりじゃないか、ということまで持ち出してくると、セックスをやれやれ、死ぬまでやれ、20代の女とやりてぇーと煽っているのはポストじゃないかといいたくもなろう。女性が子どもを生んでも働ける職場環境をつくらなければ、少子化など解決するはずがない。日本は欧米に比べればまだまだ女性の地位は高くない。私の経験からも、バカな男より賢い女のほうがなんぼかいい)。

   「袋とじ」の「女性器アートの4代巨匠」に至ってはいうべき言葉がない。あれだけ輝いていたグラドル「YURI」のページも新鮮さはすでに失せてしまった。

   節電キャンペーンのいかがわしさや参院不要論は、ごもっともだが、で、それでどうしたと突っ込みたくなる。開高健風にいえば「耳が勃(た)つ」記事がないのである。週刊誌がやるべきことはもう少し違うところにあるように思うのだが。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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