名古屋市内で10日午後(2013年7月)、中学2年生の男子生徒(13)が自殺した。いじめが原因とみられている。ところが、いじめを目撃した同級生の証言と担任の女性教諭の話が完全に食い違うというおかしな事態になっている。
生徒は以前住んだことのあるマンション11階から飛び降りた。自宅には「複数の人から『死ね』といわれた」など、自殺をほのめかす書き込みのあるノートが見つかっている。
「担任の先生が『死ねるわけない。やってみろ』って」
実はこの日、学校で次のような経緯があった。複数の同級生はこう話す。「A君が(自殺した生徒に)『死ね、死ね』といっていた。Bちゃんも乗っかって『死ね、死ね』と言っていた。で、男子生徒が『自殺する』と言ったら、担任の先生が『そんなのやれる勇気ないのに、やってみろ』ってあおったんです」「いじめられて先生に助けてもらおうと頼ったら、(先生が)『やれるものならやってみろ』と言って・・・」「たまたま『死ね』って言われて、『じゃ死ぬわ』みたいな。『死ねるわけない』と(先生が)言って、そのあと3時ぐらいに・・・」
男子生徒はソフトテニス部に所属し、コツコツと勉強する非常に真面目なタイプで、同級生によると「性格は明るくて優しい子だった。10日もいつもどおり一緒に帰ろうといったら、めずらしく『無理』といって断られた。それが最後だった。あのとき強く誘って相談してもらえたら、止められたかもしれなかった」という。
聴き取り調査に「男子生徒を突き放すような会話はなかった」
名古屋市教委は会見で「ノートには誰とは分からないが『複数の人から死ね』と言われた内容があるんで、これは何らかのいじめということを疑わざるを得ない」と語った。また、担任教諭があおったという同級生の複数の証言について、この担任教諭に聴き取り調査を行なった結果を明らかにした。それによると、担任教諭は「自殺のあった日に、『死ね』と言う言葉を耳にしてことはないし、この日は直接、個別に言葉を交わす場面はなかったし、男子生徒を突き放すような会話はなかった」と話しているという。
毎日新聞論説委員の与良正男は「いじめだったかどうかも含めて、まだ断定できないので、ちゃんと調べないといけないが、子供同士がどうすればいいのか話をする。そのあと親子で考えることをぜひやって欲しい」という。
不可解な顛末に、市教委は生徒を対象に無記名のアンケート調査やヒヤリングを行なうという。河村たかし名古屋市長も事実解明に向け「全力を挙げて対応する」と述べている。