人は生まれながらにして善人なのか?赤ちゃんを対象にしたこんな研究の結果がこのほど発表された。京都大と豊橋技術科学大学が進めているもので、生後10か月の赤ちゃん20人に、物体を使ったいじめのアニメーションを見せた後、赤ちゃんがいじめた物体といじめられた物体のどちらに関心を示すか調べた。赤ちゃんの直感的な判断で人間の本質の迫ろうという狙いだ。
結果は20人のうち16人がいじめられる物体を選び、残り4人がいじめる方の物体を選んだ。赤ちゃんを変え、物体の色を変えるなどして実験を重ねたが、常にいじめられた物体を選んだ赤ちゃんは80%、いじめる物体を選んだのは20%だったという。
「いじめられる側といじめる側」どちらに関心持つか
京大教育学研究科の鹿子木康弘特定助教は「いままでの研究とか動物行動学の理論を考えると、同情的な態度と考えても差し支えないといえると思います。人間は本来、善か悪かという人間の本質が解明されることにつながるのではないかと考えています」と話す。
赤ちゃんに思いやりの心があるということが示された形だが、司会の加藤浩次は「この実験結果が正しいとすると、悪というものは後天的なものだということになりますね」という。
キャスターのテリー伊藤「兄弟姉妹や親の影響など、いろんな要素があるから、これだけで決められないけどね」
コメンテーターの本村健太郎(弁護士)「子どもは残酷だとよくいいますよね。どっかで残酷なものを学ぶんでしょうね」
おおたわ史絵(内科医)「この実験を成人にやらせてみると、いじめられる物体を選ぶ確率が減っちゃう。大人になると、いじめた方の物体を選ぶ人が増えるんです」
事実、大学生ら20人を対象にした実験では、いじめる側を選ぶ方が多かった。「強くありたい」「いじめられる方にまわりたくない」といった理由だ。
加藤「悪を知らない善は本当の善ではないという言葉があります。誰の言葉か忘れましたが」
この結果から何を学ぶかだが、おおたわは「人間はいろんなことでできあがりますから、いい実験だと思いますね。いじめの抑止など将来何かに役立ててほしい」と結んだ。