日本で飼われている犬は1100万頭と10歳以下の子供の数とほぼ同じだ。それに伴って、マナーの悪い飼い主も増えていて、とりわけ目につくのが糞の放置だ。なぜ後始末をしないのか。あさイチのアンケートでは「面倒くさい」25%、「誰も文句は言わない」10%、「フンに気付かなかった」9%という。面倒くさい、文句言われないからという飼い主は、もともと犬を飼う資格に欠けると言わざるを得ないが、フン害対策に成功している街があった。
Gメン配置して回収したらかえって増加
大阪府泉佐野市では去年6月(2012年)、犬のフンを放置した飼い主から罰金を取る条例を巡って市議会が紛糾した。市内の道路や公園は犬のフンだらけで、去年11月からはフン放置の特別Gメンを組織したところ、処理したフンは1か月で200キロにもなった。その後1か月はフン放置は減少したが、今年に入ると2割も増えた。
泉佐野市の環境衛生課の河野薫さんは肩を落とす。「正直、ショックでした。飼い主は市で回収してくれるから放置していいという心理が働いたんでしょうか。このままではまずいと思っています」
放置フンの横に「飼い主さん置しないで!」「監視しています 高砂市」
兵庫県高砂市は4年前までは泉佐野市と同じの犬のフンだらけだった。川の土手沿いの散策が趣味の藤輪透さんは、散策ルートの変更を真剣に考えていた。「一人で回収をやっても成果は上がらず、飼い主に注意すると睨まれたり、ええかっこするなと言う言葉まで浴びせられました」
そこで作戦変更で作ったのが黄色の紙に黒字で書かれたイエローカードの3角柱だ。標語は「飼い主さんフンを放置しないで!」と「監視しています 高砂市」とある。
「これを放置されたフンの横に置いておくだけ。それだけです。犬は自分でフンをしたところを覚えていて同じ所でフンをする習性があります。この習性を利用して飼い主にメッセージを伝えようとしました。このイエローカード置きは初めて1か月半で放置フンが半減しました」と藤輪さんは言う。
泉佐野市も今年2月からイエローカード方式に切り替え、3か月後の5月にはフン害が半減したという。全国に自治体でやってはどうだろう。
(磯G)