自転車事故で何千万円もの賠償金を支払うケースが多発している。神戸地裁は今月4日(2013年7月)、小学生が乗った自転車が高齢の女性に衝突した事故で、子どもの母親に9500万円の賠償を命じた。
事故があったのは08年9月。神戸市内で小学5年生の男子児童が乗った自転車が下り坂を20キロのスピードで走行し67歳の女性に衝突した。女性は2メートルほど飛ばされ、現在も意識不明の重体だ。裁判所は加害者の小学生の母親が、自転車のルールを十分に指導・注意をしていなかったとした。この家庭は自己破産に追い込まれてという。
携帯しながらの女子高生5000万円、信号無視会社員5400万円
横浜市では、16歳の女子高生が無灯火のうえ携帯電話を見ながら自転車に乗り、57歳の看護師に背後から衝突した。このケースでは加害者側に5000万円の賠償が命じられた。転倒し歩行困難となった看護師は職を失い、生活保護を受けている。
東京・渋谷では、自転車に乗った37歳の男性会社員が猛スピードで信号を無視しながら交差点内に進入、55歳の女性と衝突した。女性は頭蓋内損傷で11日後に死亡した。このケースは5400万円の賠償が命じられたほか、男性会社員は禁固1年10か月の実刑判決が言い渡された。
10年間で自転車事故1・5倍の増加
警察庁によると、自転車対歩行者の事故は2000年に1全国で827件だったが、10年には2760件とほぼ1.5倍になり、自転車相互の事故は2346件が3796件とほぼ1.6倍に増えたという。
ゲストコメンテーターの俳優の片岡鶴太郎は「お手軽だから気軽なんですよ。大事故になるとは思っていないし、こんな代償があるとは感じていないのかもしれません」と話す。
加害者にならないためには何を守ればいいか。事故の7割以上が出合い頭の事故という。自転車は道路交通法の「車両等」の分類に入り、車と同等に扱われて左側通行が義務付けられているが、守る人は少ない。相変わらず無灯火で走行する若者も多い。