「質問は5つ、質疑応答は20分」
これは良い兆候なのか、それとも逆なのか。2020年のオリンピック開催都市を決めるための最後のプレゼンテーションがきのう3日(2013年7月)、スイスのローザンヌで行われた。45分の説明に45分の質疑応答が予定されていたが、東京の説明に対する質疑はあっけないほどだった。猪瀬直樹東京都知事は「あまり疑問がないということで、いい意味に受け取っています」と余裕の表情だったが、結果は9月7日にわかる。
滝川クリステルのスピーチに「素晴らしいフランス語でありがとう」
今回のプレゼンテーションは国際オリンピック委員会(IOC)の100人の委員たちに開催計画を直接説明するもので、東京からは猪瀬知事、麻生太郎副総理、フェンシングの太田雄貴選手、英語とともにIOCの公用語であるランス語が堪能なフリーアナウンサーの滝川クリステルら6人が説明役を務めた。
説明会は非公開だったが、終了後、滝川は「素晴らしいフランス語ありがとうとおっしゃってくださったIOCの方もいましたので、喜んでもらえたと思っています」。麻生は「前回と比べて都民の盛り上がりがまったく違う」と、それぞれ成果を語った。
IOC委員たちに聞くと、ある女性委員は「東京は素晴らしかった。彼らの熱意が伝わりました」と話していたが、終わった直後の会場で悪く言うはずはない。東京だけでなく、ライバルたちも上首尾だったと語っていた。イスタンブールは心配されていた反政府デモは問題にはならなかったといい、マドリードも懸念材料の経済状況に関して質問は出なかったと話している。
フェリペ皇太子登場、サマランチ元会長の息子ロビー活動
現地で取材に当たっている日本テレビの岩崎建記者は、「プレゼンで3都市に差がついたというところまではいっていません」と解説しながら、気になる見通しを述べた。それはマドリードについてだ。
「今回注目されたのはスペインのフェリペ皇太子でした。IOC委員の中には王室に好意的な方が多いとされ、皇太子の登場はインパクトがあったようです。そういう意味で、マドリードはしたたかなやり方をしているなと感じました。当初はイスタンブールが東京の強敵とみられていましたが、ここへきて本当の脅威はマドリードだという見方をする人が出てきています。フェリペ皇太子に加え、IOC会長として長く君臨したサマランチ氏の息子が理事をやっていることもあり、IOCの中にスペインが一定の影響力を持っていることは間違いなく、ロビー活動においてその力は侮れません」
プレゼンでは東京は手ごたえを感じていたが、裏も表もあるIOCという世界、何が起きるかわからない。