「現場は悲鳴を上げています」
全日本柔道連盟(全柔連)の理事に就任したばかりの北田典子理事(ソウル五輪銅メダリスト)が きのう3日(2013年7月)の記者会見で涙ながらに訴えた。第一線の指導者や子どもたちが一連の不祥事で想像以上に傷つき、不安を抱えている現状を会見の席で明らかにしたのだ。こうした声に全柔連はどこまで答えようとしているのか。レポーターの西村綾子が北田本人へのインタビューを交え報告した。
全柔連「改革前倒し」でも収まりそうもない現場の悲鳴
全柔連はきのう改革・改善を進めるための「改革促進タスクファース」の新設を発表した。これまで10月(2013年)をめどに改革案をまとめる予定だったが、外部理事からそれでは遅いと指摘され、タスクフォースを発足させ、8月中にまとめるように前倒しを図ることにしたという。その会見の席で、北田は以下のような発言をした。
「本当に現場は悲鳴を上げていています。私も毎週のように試合会場に行っています。(涙を浮かべながら)その中で、現場の子どもたちや指導者の方々のいろんな不安やいろんな思いを直接感じています。いま現場の子どもたちは本当に心を痛めています。自分で足を運んで1人ひとり選手たちと接して、できれば言葉を交わしていきたいと思っています」
西村は会見後、直接、北田に「現場の悲鳴」の実態を聞いた。「私のところにもいろんな声が入ってきますが、中でもすごくショックだったのが、コンビニで柔道着を抱えた子どもが『お母さん、練習に行きたくないよ』といっている。その柔道着に『レイプ』と書いてあったそうなんです。そこからは想像なんですが、『レイプ魔』になるために柔道をやっているのかと言われたのかなと。私はその子に会って抱きしめてあげたい思いです。こういう話を聞いていますから、1日も早く再生しなければという思いはすごく強いです」
再生のためには「古い体質を改め、目上の人に対して言いにくいことでも発言していくことが大切」と語る。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト