「お母さんの肺をお子さんの肺に移植する時、本当に命を運んでいるのだと実感しました」と岡山大学病院の大藤剛宏准教授はしみじみと語った。今月1日(2013年7月)、母親の肺を3歳の幼児に移植する手術が世界で初めて成功した。
担当の大藤准教授「リスクはありました。でもやるしかなかった」
西村綾子リポーターが人間の肺について説明した。「左の肺は上葉と下葉の2つに分かれていますが、右の肺は上葉、中葉、下葉の3つから構成されています。手術はこの中葉を移植しました。中葉の移植手術は過去にアメリカで4歳児への1例だけで、この時は失敗しています」
岡山大学の肺移植チームはこれまで110例の移植手術を手掛けてきた。1982年に日本で初めて肺移植手術に成功したのも岡山大学のチームだ。今回のリーダーとなった大藤准教授はアメリカで研究を重ねた肺移植のベテランだ。
大藤准教授は「確かにリスクはありました。でも、怖がっていてはダメ。やるしかないと考えました。大人や学童の移植手術なら下葉を移植します。でも、3歳児には下葉は大きすぎて入らない。それで、中葉を移植することにしました」
西村「これまで肺の移植手術は20歳以上の3親等以内か、配偶者とされてきました。母親の肺を3歳児に移植したのは画期的なことです」
これまでだったら助からなかった
大藤准教授は「幼児の重い肺疾患は助からないとされてきましたが、今回の手術の成功で道は大きく開けました」と語る。
司会の加藤浩次は「右と左の肺で構成が違うということを初めて知りましたよ。人間の身体は複雑にできているんですね」
コメンテーターの宮崎哲弥(評論家)「肺の移植手術は脳死をした人からのドナー提供が多く、僕は脳死した人の提供は慎重にという立場を取ってきました。でも、今回は親から子へ。こうした動きが広がるのではないだろうか」
大沢あかね(タレント)「重篤な肺疾患のお子さんを持つ親には希望の光が広がっているのではないでしょうか」
実際には手術できる条件というのはかなりハードルが高いのだろう。多くの子供が助かるという話ではなさそうだ。