体操の世界にスーパー高校生が現れた。おとといの6月30日(2013年)に行われた全日本種目別選手権の男子ゆかで優勝した神奈川県立岸根高校2年生の白井健三(16)だ。この大会は秋にベルギーで開催される世界選手権の代表選考を兼ねており、史上最年少の世界選手権出場が決まった。「後方宙返り4回ひねり」という難易度の高い技で15.900点という高得点をたたき出したが、世界王者の内村航平も「こんな演技をされたら、僕も勝てるかどうかわからない」と舌を巻くほどだった。
ゆかで内村航平上回る15・900!トランポリンで培われた空中感覚
白井は慎重161センチと小柄で目のくりくりとした可愛らしい男の子だ。一見あどけない少年に見えるが、空中に飛び上がると、物おじせず、自在に身体をひねる。そのひねりのうまさが武器なのだ。
両親が体操クラブの指導者で、小さい頃からトランポリンで遊び、誰に教えられることなく自然に空中感覚を身に付けたようだ。15.900点という得点は、ロンドン五輪のゆかで内村が獲得した15.800点を上回っており、世界選手権やリオデジャネイロ五輪に向けて期待が高まる。
得意科目は社会科系。泳げないし、球技もできないから体育は苦手
レポーターの中山美香がその素顔を取材した。ニックネームは「ケンケン」で、得意科目は地理、世界史、日本史で、苦手は体育だという。泳げないし、球技もできない。甘いものが好きで、一番の好物はメロンパンと笑顔を絶やさず話すが、体操に関する受け答えになるときりっとした表情になる。
優勝した時は「夢だった世界選手権が現実のものとなったので、少しでも先輩方に近づけるよう、日々練習していきたいと思います」と謙虚に話し、選手権に向けては「とにかく15.900点がとれたことがうれしい。このチャンスを逃すわけにはいかないという自分がいたし、世界の人も見たことがない若さと勢いがあると思うので、そういうところを見せつけていきたいと思います」と頼もしく語る。
キャスターのテリー伊藤がいう。「白井選手は実は5回ひねりもできるんです。練習ではやっているんです。4回ひねりは日本選手のなかにもできる選手はいますが、試合では失敗の不安があるのでやらないのです。白井選手は将来的には5回をめざしていると思う。それぐらいの逸材です」
ますます、楽しみだ。