アメリカ政府の機密文書を暴露して、モスクワへ逃れている元CIA職員エドワード・スノーデン氏がきのう1日(2013年7月)、ロシアに亡命申請したと海外メディアが報じた。スノーデンはエクアドルへ亡命するといわれていたが、動きがとれないでいるらしい。
しかし、この間にも彼の情報漏洩はつづいているようで、英国の「ガーディアンむ(HP)はきのう、スノーデンが持ち出した内部文書をもとに、アメリカ国家安全保障局 (NSA)がワシントン駐在の38の外国大使館やEU本部などで盗聴していたと報じた。日本大使館の名前もあった。
アンテナついた盗聴器で電子通信機器の電波キャッチ
ガーディアン記事によると、「DROPMIRE(ドロップマイアー)」という暗号名の作戦で、電子通信機器にアンテナのついた盗聴器を仕掛けたという。日本の業者に聞くと、「これです」と出したのは小さな箱とクリップのついたワイヤの組み合わせ。電話の配線にかませてアンテナをつけると、外部で電波をキャッチできるのだという。
駐ワシントン大使館の大鷹正人公使は「一般論として、仕事の性格上考えていかなければならない。常に注意をはらっていることだ」という。外交の世界ではある意味では当たり前のことでもある。
菅官房長官は「わが国も関心を有している。外交ルートを通じて真偽を求めていきたい」と語ったが、そんなことに相手が答えるはずもない。 1995年の日米自動車交渉で、当時の橋本通産相ら日本代表団がCIAに盗聴されていたと、のちに「ニューヨーク・タイムズ」が報じたことがあった。
元外交官の小池政行氏は「(盗聴は)絶対に行われているという前提に立って、何重ものセキュリティーエリアを作って、大使館でも限られた人間しか入れないように、あるいは金魚鉢みたいな部屋をつくって守っている」という。
ドイツでは1日1000万件のネット監視
水曜のレギュラーコメンテーターであるデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)がわざわざ登場して最新の情報を伝える。けさ、スノーデンがウィキリークスのアサンジ氏を通して、オバマ政権が亡命を受け入れる国に圧力をかけて妨害している、止めてもらいたいと声明を出したという。
司会の小倉智昭「どこの国でもそうだろうが、盛んにやられてるんだね」
大使館などの盗聴では、日本以外にはフランス、イタリア、ギリシャ、 トルコ、メキシコ、韓国、インドなど。EU本部(ブリュッセル)では90人の職員の行動監視、パソコンの閲覧、盗聴。ドイツでは1日に1000万件のネット接続の監視、毎月5億件の通話記録もモニターしていた。
ケリー米国務長官は「特別なことではない」といっている。まあ、当たり前のことというわけだ。UEやドイツ、フランスは抗議しているが、どこの国でもやっていることだからインパクトは少ない。
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集主幹)「どこの国でもやっているとはいえ、官房長官の反応は鈍い。もっと怒らないといけない」
外交には裏と表があるが、裏はともかく、表ではもっと派手に怒ってみせる必要がある。尖閣だってそうだ。言葉の爆弾をもっとぶっぱなさないといけない。