7月1日は信仰登山の山開きだ。世界遺産に登録されたばかリの富士山はどうなるのか。「とくダネ!」が出かけて行った。午前0時、田中良幸レポーターが五合目 (2305メートル)を出発した。あたりには誰もいない。見上げれば、はるかな上に懐中電灯の列が見える。ご来迎を目指す人たちだ。
カメラが切り替わって、明るくなりかかった山頂はもう人でいっぱいだった。天気はあまりよくない。それでも雲の切れ間からご来迎が…。午前 4時40分。あちこちで万歳三唱だ。
山小屋の予約は去夏の3倍…食堂でゴロ寝
月曜日でこれだから、週末だったりしたらとんでもないことになったのだろうが、さてこの夏はどうなるか。昨年(2012年)の登山者は31万8565人だったが、山小屋の予約状況はすでに3倍になっている。食堂にまで寝かせようかという状況だ。トータルの登山者は1.5倍か。
ピーク期の写真を見ると、頂上付近は行列で身動きがとれないようなことになっている。司会の小倉智昭が「頂上に立てない人もいる」。そこで入山料を取って減らそうとか、いや反対だとか、自治体の意見も必ずしもまとまっていない。
富士山に4つある登山ルートのうち、近年は富士吉田口(山梨)、富士宮口(静岡)だけだったのを、閉鎖されていた静岡側の2ルート(御殿場、須走)を7年ぶりにきょうから開くことになった。これで少しは分散されるのかどうか。いずれにせよ、行きつく先は頂上だ。
前日の30日(2013年6月)、五合目はバスで来た外国人観光客、登山者でごった返していた。外国人の中には、そのままの軽装で頂上までいったしまう者もいる。 ポロシャツ、ノースリーブ、短パン、サンダル…。「世界遺産? 知らない。観光コースに入ってるから来た」(メキシコ人)
下ってきた人はさすがに「寒いね」。パキスタン人は「パキスタンには8000㍍級があるから、富士山は低いね」。ちげえねえが、ひとたび荒れれば死人も出るんだよ。山開き前は警察に登山計画書を提出しないといけないのだが、守らない人も大勢いる。では、30万人超の登山人数も全部じゃないってことなのか。
山頂トイレ5日まで工事中!どこで用を足してるのか?
静岡側の富士宮口は六合目からは雪があるため通行止めになっているのだが、おかまいなし。バリアを乗り越えて行ってしまう。「空いてるからいいんだよ」大学生、美容師のグループが何にも持たず、ペットボトルだけ。短パンにスニーカー。「とくダネ!」のリポーターが心配して聞くが、みんなけろりとしてる。
弾丸登山といわれる「夜行登山」もある。体力まかせの無鉄砲だが、山小屋での宿泊もいらず、それなりに合理的ではあるが、やはりけが人などが多いそうだ。すると、ご親切なことに、行政はなんとか止めさせようとする。これが外国なら「自己責任」でそれっきりだ。遭難しても保険でカバーするとか。
まあ、これらはなんとかなるとして、人が増えて困るのはトイレだ。山頂は工事中で、5日まで使えないのだそうだが、どうしているのか心配になる。たしか、このトイレが世界遺産登録のときも障害になっていたはずなのだが。
小倉は「入山料(25日から試験的に1000円)をもっと高くしていいんじゃないの」
夏野剛(慶応大学大学院特別招聘教授)「問題大ありなのに山開きしてる。5日までトイレ使えないと、どこでやってるの。ルールも新しくすべきですよ」
岡田育(編集者)「小学校3年のとき登ったことがあります。ご来光はすばらしかったけど、ひたすらつらかった」
夏野「アメリカの国立公園なんか、入れる区域がをしっかり限定して、入山料もとる。レンジャーも厳しく指導する。ルールづくりの問題でしょうね」
世界遺産登録に浮かれているけれど、では一層環境保護に力を入れようという動きはないものね。