大統領選惨敗の保守強硬派巻き返し
しかし、イランには大統領の上がいる。そのハメネイ師の意はどうなっているのか。日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎・中東研究センター長は、「候補者選びの段階で審査がある。今回は8人が残って、最後は6人になったが、広くいえば(ロウハニも)許容範囲内」という。
経済制裁解除は核問題の行方次第だ。ロウハニは2004年、西側との交渉でウラン濃縮活動の一時停止を打ち出している。著書でも「国家の安全か原子力による繁栄かとなれば、私は間違いなく前者をとる」と書いてもいる。当選後、ロウハニは「(核開発に)やましいことはないが、一層透明性を高めていく」と表明した。側近の1人は「透明性」がロウハニ政権を読み解くキーワードだという。
米国務省筋は「転換点になるかもしれない。イラン指導部の中でこれまでにない動きがある」と期待感をいう。しかし、田中氏は「大統領ひとりでできることは限界があります。コンセンサスには段階もあり時間がかかる。といって、彼自身が動くと指導部との対立になる。米は過剰な要求や期待を持たないことだ」という。
改革派を大事にしたいのはわかるが、ハメネイ師に近い候補者が票を集められなかったのは、ハメネイ師にもショックだったはずである。これがどんなリアクションになるのか。読める人はいない。難儀な国だ。
NHKクローズアップ現代(2012年月日放送「イランは変わるのか~穏健派新大統領の課題~」