河南省の病院の壁の「赤ちゃん売ります」という張り紙の写真を中国・新華社通信が配信した。記者が記載された電話番号に電話すると、出てきた中年の女性は「いるよ。男の子?女の子?」と、信じられない答えが返ってきたという。
「出稼ぎ女性の私生児。取り引きは絶対安全」平然と語る仲介女性
くだんの中年女性は値段まで話した。「男の子なら3万6000元(約57万円)、女の子なら少し安く2万4000元(約38万円)。生後1~5か月で一番大きくても生後8か月。子どもが欲しい人が多いから、みな順番を待っていますよ」
別の国営ラジオ局の記者が子どもの入手ルートを聞くと、「誘拐したのではなくて、ほとんどが私生児。生んだ人は出稼ぎの女性で、育てられないから私たちに渡した。取り引きは絶対安全。40人以上を扱った実績がある」と、まるでもの扱いだったという。
中国事情に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏は「2009年から当局の取り締りが強化されているが、数が多すぎて追いつかないありさまです。農村では働き手にならない女の子は捨てるという習慣ができてしまい、労働力として男の子が欲しいという需要があるようです」という。
売るために産む家族や死産とウソついて犯罪組織に
中国人ジャーナリストの周来友氏は、こうした人身売買が横行する背景についてこう語る。「男の子の場合は跡継ぎ欲しい、女の子だったらお金のために売ってしまう。売るために産むという家族もいます。さらに悪質になると、病院と結託して、本当は生まれているのに、死産したとウソをつき犯罪組織に流してしまうんです」
昨年3月(2012年)、「人民日報」に掲載された記事によると、09~12年までの3年間に誘拐、人身売買で拘束された容疑者は5万6108人、誘拐され警察に保護された子どもだけで3万5662人にのぼるという。また、親から捨てられた子どもは年間10万人、日本(250人)の400倍に達している。
司会のみのもんたは「すごいニュースですねえ。でも、日本でも捨てられた子が250人もいるんですか」とタメ息をついた。