京都・宇治市を流れる宇治川をはさんで、西側に世界遺産に指定された平等院、東側に宇治上神社、その間の中洲にあった名所の桜100本ほどが突如消えてしまった。切ったのは国土交通省近畿地方整備極淀川河川事務所で、「洪水対策のために川床を掘る改修工事に伴う伐採」と説明すしている。宇治市には何の連絡もなかった。
源氏物語の舞台…通知なく地元は「知らなかった。みんな驚いてる」
中洲の宇治公園界隈は源氏物語の「宇治十帖」に描かれた舞台で、350本の桜や松が植えられ、毎年、「宇治川さくらまつり」のメイン会場となっている。河川事務所は京都府には事前に通知していたらしく、京都府は「伐採は極力少なくしなくし、移植して欲しいと要請していた」という。
しかし、宇治市に対しては「必要な手続きとは考えていなかった」(五十川・河川事務所副所長)というから、住民の多くが知らなかったのも当然で、「全然知らなかった。みな驚いてますよ」と怒る。「宇治の世界遺産を守る会」の薮田秀雄さんは、「ここ全体が世界遺産景観ですよね。これを壊すというのはとんでもないことです。国がやることは市町村は黙って着いて来いっていうやり方は、今はもう通用しない」と怒り心頭だ。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト