海外で活躍する日本人のニュースを聞くと誰もが誇らしく感じる。今回、日本人で初めてトニー賞を受賞した方がいた。もともと劇団四季で俳優として活躍し、その後、片道切符でニューヨークに渡り、ブロードウェイで作品を十数年手掛けてきた。これまでも携わった作品が何度かノミネートはされ、イギリス映画「キンキーブーツ」のリメイク版で受賞した。
ドラッグクイーンが繰り広げる恋愛、ニッチビジネス、親との葛藤、人間模様…
日本でトニー賞の認知度はアカデミー賞やブラミー賞に比べるとガクンと落ちる。日本のテレビ番組がノミネートされることもあるエミー賞よりも、トニー賞は舞台ものなのでさらに馴染みは薄い。初の日本人受賞作品「キンキーブーツ」はどうだろうか。このニュースも大きくは取り上げらなかった。
作品は今年のトニー賞で最多の6部門を受賞し、音楽はシンディー・ローパーである。いま一番の話題作で、トニー賞受賞前後はチケットが1枚600ドルにまで跳ね上がったという。映画も見ていたので、ドラッグクィーンたちが繰り広げる壮大なショーを期待して出かけた。
イギリスの片田舎の4代続く靴工場が舞台で、父親が亡くなり新社長となったものの、パっとせず従業員からもあまり信頼されていないボンボンが、工場をどうしようか悩んで飲み出かけ、そこで強姦に襲われている女性を助ける。けれど彼女、実は女装しているドラッグクィーンだった。ボンボンは彼女のショーを見てあることをひらめく。彼女たち専用の靴を作ればニッチだけれど手堅いビジネスになるのではないか。ドラッグクィーンたちとともに新たな靴を作っていくなかで、恋愛模様や父親との葛藤を克服し、意見が違う従業員との対決など、さまざまな要素が盛り込まれていく。