「終わったね、この人」
スポーツ紙のインタビューに日本維新の会の石原慎太郎共同代表は、相方の橋下徹共同代表を切って捨てた。従軍慰安婦発言のときは、石原は「基本的に間違ったことを言っていない」と橋下をかばったが、維新の会の都議選、参院選の候補者たちが悪戦苦闘しているのに謝罪もしないことに腹を立てた。
維新の会のある議員によると、「石原さんはこのところ橋下さんにずっと苛立っていた」という。
街頭演説に遅れてきた橋下を一喝「遅いぞ!」
今月6日(2013年6月)に東京・渋谷の街頭演説会に、40分も遅れてきた橋下を、石原はわざわざマイクを取って「遅いぞ!」と一喝した。このあとも石原と橋本は目を合わせることはなかった。
都議選(6月23日投開票)が最終盤になっても自分の姿勢を崩さない橋下に石原はこうぼやいている。「仲間なんだからさ、『みんな迷惑かけた申し訳ない』とひと言言うことでずいぶん気持ちが伝わって変わってくると思うし、これからの結束に繋がると思う。僕ならそうするけどね」
決定的な亀裂が生じたのは、18日に石原が電話でこうした考えを伝えたところ、橋下はテレビカメラの前での釈明を受け入れなかったことだった。橋下はその理由を「選挙に有利になる。不利になる。そういうことで自分が言いたいことややりたいことを止めるとか、違うことを言ってみたりとか、それはしません」と開き直った。
テレビの前でケンカしてしまったら引っ込みつかない
三重県知事を2期務めた北川正恭(早大大学院教授)は「こういう試練に耐えて、維新の会が残れるかどうかだと思いますね。辞めるの辞めないを言うのはもっと(試練に)耐えてから。多少軽いのかなと思う」と厳しい。
東京新聞政治部次長の金井辰樹は「石原さんの怒りはよく分かる。すぐ前まで都知事をやっていて、(都議選候補の中にも)自分の子飼いがいっぱいいる。それなのに、橋下発言のたびに維新の会の支持率がどんどん下がり苦戦している。テレビの前で思ったことを言う2人に亀裂が入ると関係修復は難しい」とみている。
維新の会そのものが終わってしまったのかも…。