経済産業省の駐車場の隅に、目立たないように停められたボックスタイプの大型車がある。高レベル放射性廃棄物の「地層処分模型展示車」というのだそうだ。 値段が8800万円、維持費が年2000万円。昨年(2012年)1年間に使った日数は17日だけだ。あとはずっとここに停められたままという。
1年に17日しか動かさない展示車両「1台8800万円、維持費2000万円」
この展示車は原子力発電の理解を広めるために、資源エネルギー庁が作った。カネの出所は「原発の広報事業費」という耳慣れない費目だが、電気料金をもとにした税金だ。広報事業費は経産省と文科省が管轄するが、福島事故のあと2年間で約23億円がついていた。
事業の受注は一般競争入札が原則だが、「とくダネ!」が調べてみると、受注したのは、経産省・文科省、電力会社の天下り先がほとんどで、事業費全体の74%を占めていた。先の展示車を運営している「大阪科学技術センター」も、会長は元関西電力の副社長だ。
リポーターの田中良幸が応札したのは何社かときくと、「1社でした」と悪びれずに言う。これにはからくりがあった。一般競争入札とはいいながら、最も低い額を提示した業者が落札する最低落札方式ではなく、総合評価落札方式という、いろんな要素を勘案する方式で、いくらでも操作が可能なのだ。
電気料金には電力会社が国に納める電源開発促進税が上乗せされている。原発広報事業費はここから出る。2011~12年で23億円。このうち17億円が天下りの10法人に流れていた。
競争入札と言いながら、「応札は身内の1社」
北海道・幌延町にある幌延深地層研究センターもそのひとつだ。放射性物質の埋設模型を実物大で見ることができる施設だ。建設・運営は原子力環境整備促進・資金管理センターという団体で、経産省OBは2人。放射性廃棄物等対策室は「競争入札だから天下りとは関係ありません」というのが、ウソであるのは前述の通りだ。
しかも、これまで10億円をかけてさまざまな処理施設を作っているが、あくまで展示用、PR用にすぎない。3年間で2万人が訪れたというが、地元では「人口2600人の町にそんなものを置いても効果は少ない」という。
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集主幹)は去年(2012年)、ここを訪れていた。「閑散としていて、電気代のムダじゃないかと思いましたね。原発を広報するよりは、(埋設を)受け入れ自治体に説得する材料という感じ」という。
宋美玄(産婦人科医)「事故の後も原発の広報をしていたというのがわからない」
司会の小倉智昭「電力会社はあるだろうが、お役所が二十何億円かけて広報しないといけないというのが現実なんですね」
竹田「広報はあってもいいが、内容ですよね。事故で状況は変わっているのに、事故の前と同じ。誰も予算を見ていないのが問題ですよ」
安倍首相は東欧諸国、ベトナム、インドをはじめ世界に原発を売るつもりらしい。
宋「事故が収束もしてないのに?」
原発がいかに高くつくか、まだわかってないらしい。