インターネットの掲示板に「痴漢して欲しい人」と「痴漢したい人」が交流する変な遊びが流行っているらしい。この遊びが高じて、女性になりすまして「私を痴漢して」と投稿した男が現れ。実際に痴漢した元介護士の男(26)が逮捕された。では投稿した男は誰だったのか。出頭してきたのは49歳の国税国職員だった。
相手間違えた元介護士「ネットの掲示板でOKって言うから…」
珍妙な痴漢事件が起きたのは今年4月(2013年)、JR和歌山線でのことだった。女性の下半身などをさわったとして元介護士の男が逮捕されたのだが、男は「インターネットの掲示板で女性からの『痴漢して欲しい』という書き込みを見たのでやった」と供述したが、被害女性は書き込みを否定した。
警察は何者かが女性になりすましと見て捜査したところ、大阪国税局の職員が(49)が出頭してきて、「同じ車両に乗る女性になりすまし、『痴漢をして欲しい』と掲示板に書き込んだ」と供述した。
インターネットのサイトには、痴漢を呼びかける投稿が多数存在しているという。痴漢して欲しい人と痴漢をしたい人が交流する掲示板サイトには、「当掲示板は痴漢プレイを楽しむために男女が集まるコミュニティサイトです。お互い合意の上で痴漢プレイをお楽しみ下さい」とある。そして――
「きょう京都で痴漢してくださる方いませんか」
「はじめまして、夕方以降、京都にいるのでよければ触らせてください」
「今からちょっとだけ触って欲しいです」
「夕方からどうでしょうか」
――なんてやりとりが交わされている。
途中で気づいていたら強制わいせつ。なりすましは同教唆
こういったサイトに違法性はないのだろうか。インターネット犯罪に詳しい落合洋司弁護士は「サイト自体をダイレクトに取り締まることは難しいと思います。個々の書き込みを見ながら、現実的な取り締まり、法令の適用を考えていくのが最も効果的な方法と思います」という。
では、逮捕された元介護士と女性になりすまし「痴漢をして」と書き込んだ国税局職員に罪は問えるのか。コメンテーターの大渕愛子弁護士は次のように解説した。「今回のケースは、痴漢をした男性が相手の女性が嫌がっていたと気付けなかった可能性があります。書き込みを見て痴漢行為をしたので、犯罪の『故意性』がなくなってしまう。ただ、途中で書き込みの女性ではないと気付いたなら、強制わいせつ罪が成立すします」
女性になりすまして書き込みをした男性については、「実行犯が罪に問われれば、強制わいせつ教唆または幇助の罪に問われるが、実行犯が罪に問われなければ、教唆も幇助もなくなります」という。
この交流サイトの利用者は、なりすまし男ばかりではないだろう。ややこしい女性がいるから、こうしたややこしい事件が起きる。