<クロユリ団地>
主役・前田敦子食っちゃった子役・田中奏生「不気味演技」忍び込んでくる怖さ

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(C)2013「クロユリ団地」製作委員会
(C)2013「クロユリ団地」製作委員会

   介護の学校に通うため、二宮明日香(前田敦子)とその家族は、幽霊が出るなんて噂のあるクロユリ団地に引っ越してきた。そこで明日香は一人で遊んでいる不思議な少年・ミノルと出会う。数日後、隣の部屋の不可解な住人が孤独死しているのが発見され、その日から明日香にも恐ろしい出来事が起こるようになる。監督は映画「リング」シリーズの中田秀夫だ。

黒ユリが咲く怪しげな団地。正体知れぬ住民たち…

   ただ怖いだけのホラー映画ではなく、明日香の心理が細かく表現されていて、練られたシナリオになるほどと思わず感心する映画である。黒いユリの咲く薄気味の悪い団地、謎の物音が続く隣部屋の老人と、冒頭から怪しげだ。しかし、前半で勢いはストップしてしまう。パンチが足らないのだ。張られた伏線もどこかで見たことのあるようなありきたりな設定だったし、後半は団地の話より、明日香が部屋の中で嘆き悲しみ、地団駄踏んでいるシーンばかりが目につく。

   明日香を演じた前田敦子の演技は現実味があって良い。前田のイメージが主人公の設定に合っているのかもしれない。「優しいと好かれるが、その優しさにつけこんでくる人間もいる」と明日香は霊媒師に諭される。その姿はなんとも切ない。

   物語の鍵を握っている少年ミノルは子供なのに、時々妙に大人びた口調で話をし、心の隙間に入り込んでくるようなところがある。そこが不気味である。難しい役をこなした田中奏生の演技力は、前田敦子を凌いでいたといえる。

PEKO

おススメ度☆☆

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