ボールひとつで、てんてこ舞い。日本のプロ野球はこの10年ほどボールに翻弄されきたといってもいいかもしれないが、ここに来て、今季から行われたボールの「微調整」と、その非公表事件がワイドショーのトップニュースになる事態へと発展した。
ホームラン乱発批判で飛ばないボール。点入らずつまらんで一転飛ぶボール
プロ野球ではかつて反発力が高いよく飛ぶボールを使い、ホームランが量産された時期があった。ライナー性の当たりがぐんぐん伸びる。打者が崩れた体勢で何とか当てて、フラフラと外野に飛んだ打球が外野席に入る。小柄な中距離ヒッターに見える選手がシーズン30本以上のホームランってな具合である。
ホームラン乱発でホームラン本来の価値が損なわれている、点が入りすぎて試合が大味でつまらん、投手はたまらん、グローバルスタンダード(アメリカ)からずれているなどといった批判が高まり、2011年シーズンからは、反発力の低い飛ばないボールで統一することになった。すると球界は一転して、投高打低に。ホームランは激減し、今度は点が入らなくなってつまらん、これじゃ打者はたまらんといった批判が出てきた。
そんななか、統一ボールを策定した日本野球機構(NPB)はボールに問題はない、変更はしないとしてきた。しかしそのウラで、今年からボールが飛ぶようにこっそりと「微調整」を加えていたことがわかり、それで大騒ぎなんである。
要領得ない日本野球機構の説明
野球のボールはどの程度反発すべきなのかは喧喧諤諤の問題だが、とにかく「なんで『飛ぶボールにしますよ』って言わなかったのか」(羽鳥慎一キャスター)は、誰もが腑に落ちないところだ。機構・コミッショナー側の要領を得ない説明も火に油を注いでいる。
非公表のウラに、導入からわずか2年で変更することのメンツの問題、ボール業者への配慮などがあったのだとしたら、それこそまさしく「不祥事」ではなかろうかしらん。