辞任の意向を明確にしていた全日本柔道連盟の上村春樹会長がきのう11日(2013年6月)、会長職に居座ることを表明した。4月には「近いうちに進退を明らかにしたい」と話していたが、「途中までやったことをきちんと結果を出して、次の世代に受け渡すことが私の使命だ」と一転した。相次ぐ不祥事の責任も取らず、果たして改革ができるのか。
不祥事報告書「とても納得できない内容」と受け取り拒否
今年1月の女子日本代表前監督による暴力、暴言から始まって、3月には日本スポーツ振興センターからの助成金を組織ぐるみで不正に受け取っていたことが判明、さらに5月には理事による女子選手へのセクハラ行為も発覚した。
会長の管理能力ゼロという事態だが、なぜかこのタイミングで20年来の付き合いという国際柔道連盟のビゼール会長が来日して、「上村会長は非常にクリーンな人です。今後の続投を支持します」とわざわざ擁護する会見をおこなった。国際柔道連盟の手を借りて居座り策を図ったということなのか。その裏では「耳を疑うような」とんでもない事態が起きていた。
全柔連は一連の不祥事に関する報告書を、公益法人を監督する内閣府の公益認定等委員会に提出したが、内容があまりにもお粗末として突き返された。報告書を突き返されるのは前代未聞で、委員会が問題にしたのは、全柔連の第三者委員会が「全柔連は順法精神に欠け、ガバナンスに問題がある」と指摘したのに対し、報告書で「第三者委員会の認識や評価に違和感がある」と反論している点だった。
委員会は「具体的な根拠を示していないのはガバナンスのたりない疑念を指すもの。極めて遺憾だ」と厳しく批判した。事務局員が作成したらしいが、上村会長も「私の名前で出しますので、目を通した」という。委員会は再提出の内容次第では「全柔連の公益法人の認定を取り消しもあり得る」としているという。