山形県酒田市の閑静な住宅街のアパートで、東北公益文科大学2年の設楽亮介さん(19)が殺害されて見つかってから2週間になる。周辺では不可解な出来事が多発していたというが、いまだに手掛かりがつかめない。
これまでの調べでは、設楽さんは弓道部と天文部に所属し、夏にはロシアへの短期留学を控えていた。友人たちは「明るくやさしい性格で、恨みで殺されるなんて考えられない」と話す。
遺体の下の刃物「刺し傷」と一致せず
設楽さんはなぜ被害にあったのか。レポーターの阿部祐二は3つの謎をあげる。謎の(1)は、最後の目撃から遺体発見までの41時間半の経緯だ。設楽さんは5月27日(2013年)午後4時10分まで授業に出席していた。友人によると、午後6時ごろ別れたのが最後で、翌28日は授業にも部活動にも姿をみせなかった。家族から連絡を受けたアパートの管理人が、29日午前11時半ごろに遺体となった設楽さんを見つけた。現場周辺では設楽さんが最後に目撃された夜、騒がしい声を聞いたという証言もあるが、事件に結びつくどうかはわからない。
謎の(2)は遺体の状況だ。致命傷は背中を刺されことによる臓器損傷だが、頭の骨も折れており、強い力で殴られたと見られる。頭にはゴミ箱のような物が被せられていた。遺体の下から見つかった刃物は背中の刺し傷とは形状が一致しない。大学の男子トイレで刃物が発見されているが、事件との関連は明らかになっていない。玄関や窓にはカギがかかっていて、部屋は密室状態だった。足跡や争ったような形跡もなかった。
謎の(3)は、設楽さんの身の回りで起きていた不審な出来事だ。大学の弓道部は近くの弓道場で練習していたが、去年の9月から10月ごろにかけて的がくり抜かれたり、設楽さんが使用してた矢が盗まれたりしていた。矢は後になって近くで発見されたが、関連があるのか。