2日間、8時間にわたり行なわれた米中首脳会談で明かになったのは、習近平国家主席(59)の露骨な大国意識だった。習は軍事力の強化を背景に、「積極的に行動し新たな形の大国同士の関係を構築しなければなりません」と、『大国』を強調。さらに「広い太平洋は米中両国を十分受け入れる余裕があります」と述べ、太平洋を米中で支配しようぜと誘いをかけた。
裏を返せば日本に対する脅しとも取れるが、では日本としてはこの米中首脳会談をどう捉えたらいいのか。
オバマ大統領「外交解決」求める
2月の安倍首相との首脳会談は昼食会をはさんで2時間ほどだったが、2日間、8時間というのは異例の長さだ。会談場所もワシントンではなく、カルフォルニアのパームスプリングズの保養地。ノーネクタイでリラックスした雰囲気で行なわれた。
会談初日は、習主席の「今、中米関係は新たな歴史的出発点に到達した」で始まった。これに応えオバマ大統領は「我々がこれほど早くあなたを招いたのは米中関係の重要性を表している」と持ち上げたという。
会談の中で習は尖閣諸島の海洋権益の問題に触れ、「国家主権と領土の統一を断固として守る」と主張し、これにオバマ大統領は「日本の施政権は認めるが、領有権については特定の立場を取らない」と語った。日中対立のエスカレートを避け外交解決を図るよう求めたという。
同盟関係か、新たな冷戦時代か
共同通信編集委員の柿崎明二は「米中は戦争はできないから、同盟関係の向っていくという人もいるが、新たな冷戦に入る可能性もあります。日本は戸惑うかもしれないが、不動心でいたほうがいい」と分析する。経済評論家の池田健三郎は「中国は大国、大国といっているが、オバマさんは人権問題や公害などはどうなのか、言いたいことがいっぱいあるはずです。ただ、習主席体制はできたばかりで、最初から厳しいことを言ってもしょうがないので今回は持ち上げたのだろう」
弁護士の大渕愛子は「尖閣問題について、今までよりもトーンダウンしているような気がする。オバマさんの中国に対する重要性の認識が強いんだなと」
いや、アメリカは一貫して尖閣列島については日本の実効支配を認め、領有については当事者間で解決する問題としてきたのではないか。