上海の軍部隊がニューヨーク・タイムズ攻撃「温家宝首相の不正蓄財」記事の報復
中国政府の尻尾をつかんだとする事例がアメリカにあった。「ニューヨーク・タイムズ」が昨年10月(2012年)に受けた大規模なサイバー攻撃だ。当時の温家宝首相の親族に不正蓄財の疑いという記事が出る前日、中国政府が「記事を書けば代償を払うことになる」といってきた。サイバー攻撃がその「代償」だったらしい。
調査を依頼されたセキュリティ会社は、攻撃してきたパソコンを特定してその画面の監視に成功した。攻撃中に現れた4組の数字が盗み出したデー タの送り先を示していた。そこから上海にあるビルを割り出し、ここを拠点とする軍の部隊がサイバー攻撃に関わったと結論づけた。むろん中国は否定した。アメリカはヘーゲル国防長官が「中国政府や軍と見られるサイバー攻撃の脅威」を公言し、年次報告書もこれに言及した。今週末の米中首脳会談でもアメリカは懸念を表明するといっている。
土屋大洋・慶大教授は「(日本の)1000件は氷山の一角。気付いていない、あるいは気付いても信用に関わるからいわない。株価にも響くから出てこない」という。政府はようやく火力発電所など大規模インフラが攻撃を受けた場合の対応に踏み出した。発電所の合同訓練も行われ、情報の共有もこの1年で 160にのぼり、被害の拡大を防いできたという。先月には新たなセキュリティ戦略案もできた。
土屋教授は急がれるのは人材の育成だという。知的財産や技術が盗まれる損害がいかに大きいか。それにしては「非常事態には防衛省その他の国の機関が何らかの役割を……」(内閣官房)というレベルだ。もう十分に非常事態じゃないの?
ヤンヤン