白人女性教師の質問に小学2年生の正鬼多聞君が流暢な英語で答えている。多聞君が通っているのは、世界で30数校の大学を経営するラッフルズ・アメリカンスクールのマレーシア校だ。マレーシアは2020年までの先進国入りを目指して教育に力を入れ、世界の有名校誘致している。そのマレーシアに子供の教育のために日本から移住する親子が増えているという。
父親「海外でも通用する人材になって欲しい」
多聞君は経理事務所を営む父・晋太郎さんと母の綾乃さん、弟(5歳)の4人家族だ。母と子どもは移住し、父親は日本で仕事をしている。晋太郎さんは移住させた理由を「仕事柄、日本経済の動向に接する機会が多いのですが、日本経済はまだまだ不安定です。そうしたときに、国内でしか通用しない人間ではなく、海外でも通用する人材になって欲しいと送り出しました」と話す。綾乃さんも「マレーシアにはマレー系だけではなく、中国やインドなどいろいろな国の方がいます。英語だけではなく、中国語やインド言なども身につけて欲しいと思っています」と語った。
マレーシアには教育移住してきた日本人母親たちの会もある。ある母親は「日本の教育は、学校も授業の中身も中途半端です。暗記重視で、子供たちに考える力をつけるという発想があまりありませんから」という。
決まった席なしノートなし…日本とまったく違う授業風景
ラッフルズ・アメリカンスクールの校長は「授業では子供たちに好きな場所に座らせるようにしています。リラックスした中で、教師の質問に自分たちで考えて答えを出す。先生の言ったことをノートに取る時間はあまりありません。考える力とコミュニケーションを大事にしているんです」
コメンテーターの菊池幸夫(弁護士)「こうした教育移住が増えているのは、日本では国際的に通用する人材教育が行われていないという現状の証明です。高校や大学への受験重視。でも、海外の学校には肌の色も違う、人種も違う子供たちが集まっています。自然と国際感覚が身につきます」
司会の加藤浩次「たしかに、海外への留学はそれなりの効果があるかもしれないが、僕は子供の教育で一番大事なことは家族であり、家庭だと思うんですね。その家族がバラバラになって良いのかな」
教育移住には年間数百万円の費用がかかる。それが可能なのは限られた家族だろう。